「run」が「走る」以外にも「経営する」「実行する」という意味があると知って驚いたことはありませんか?
Part5で「The company will run a special promotion next month」のような問題を見ると、なぜ「run」なのか戸惑いませんか?
実は、英語には一つの語が複数の意味を持つ多義語が非常に多く、文脈から正しい意味を判断する力がTOEICでは重要なんです。
今回は、複数の意味を持つ語を確実に使い分ける実践的な技術をマスターしていきましょう。
多義と単義の基本概念
多義・単義を簡単に理解するには、「意味の広がり」で考えると分かりやすいです。
例えば、日本語の「頭」を想像してください。
- 体の部分としての「頭」
- グループのリーダーとしての「頭」
- 物の先端としての「頭」
英語でも同じように、一つの単語が関連する複数の意味を持つことが多いんです。
Part5での多義語問題の出題パターン
多義語に関する問題は、Part5で年間約5-7問出題される重要項目です。
主な出題パターンは以下の通りです。
パターン1:基本動詞の多義性
run, break, hold, takeなど基本動詞の様々な意味が問われます。
例題:
The IT department will _____ a system update this weekend.
(A) run
(B) walk
(C) move
(D) go
正解は(A)です。 「システム更新を実行する」という意味で、runが適切です。
パターン2:ビジネス語彙の多義性
address, handle, coverなどビジネスでよく使う語の使い分けです。
例題:
The manager will _____ the customer complaints at tomorrow's meeting.
(A) speak
(B) address
(C) talk
(D) say
正解は(B)です。 「問題に対処する」という意味で、addressが適切です。
パターン3:名詞の多義性
position, interest, practiceなど名詞の文脈による意味変化です。
例題:
The company's financial _____ has improved significantly this quarter.
(A) position
(B) place
(C) location
(D) spot
正解は(A)です。 「財政状況」という意味で、positionが適切です。
多義語を理解する4つの戦略
実際の問題で正しい意味を特定するコツをお伝えします。
戦略1:文脈からの意味推測
周囲の語句から最も適切な意味を判断します。
run の多義性
- run a company(会社を経営する)
- run a program(プログラムを実行する)
- run for office(立候補する)
- run out of time(時間がなくなる)
文脈による判断
Business context → "経営・運営"の意味
Computer context → "実行・動作"の意味
Politics context → "立候補"の意味
戦略2:コロケーションによる特定
決まった語の組み合わせから意味を特定します。
break の固定表現
- break the news(ニュースを伝える)
- break a record(記録を破る)
- break down(故障する・分析する)
- break into(侵入する・進出する)
戦略3:品詞による意味の違い
同じ語でも品詞によって意味が変わることがあります。
interest の品詞別意味
- 名詞:interest(利子・関心)
- 動詞:interest(興味を持たせる)
- 形容詞:interesting(興味深い)
戦略4:専門分野による意味
業界や分野によって特殊な意味を持つ場合があります。
address の分野別意味
- 一般:住所
- IT:アドレス
- ビジネス:対処する
- 公式:演説する
よくある多義語の間違いパターン
日本人学習者が特に注意すべきポイントを整理しました。
間違い1:基本的意味への固執
最初に覚えた意味だけで判断してしまう。
間違い例
- ❌ The meeting will walk from 2 to 4 PM.
- ✅ The meeting will run from 2 to 4 PM. (会議は2時から4時まで続く)
間違い2:文脈の無視
文脈を考慮せずに語彙を選択してしまう。
間違い例
- ❌ Please speak this issue with your supervisor.
- ✅ Please address this issue with your supervisor. (この問題について上司と対処してください)
間違い3:コロケーションの軽視
慣用的な語の組み合わせを無視してしまう。
間違い例
- ❌ The company will make a new branch in Tokyo.
- ✅ The company will open a new branch in Tokyo. (会社は東京に新支店を開設する)
実践問題で判断力をチェック
多義語の判断力を確認してみましょう。
問題1:The software will _____ automatically when the installation is complete.
(A) walk
(B) run
(C) move
(D) go
判断のポイント:ソフトウェアの動作文脈
正解は(B)です!
ソフトウェアの「動作・実行」を表すので、 runが最も適切です。
問題2:The CEO will _____ the shareholders at the annual meeting.
(A) speak
(B) talk
(C) address
(D) say
判断のポイント:公式な場での発言
正解は(C)です!
株主総会での正式な発言なので、 「演説する」という意味のaddressが適切です。
頻出多義語の意味マップ
TOEICでよく出る多義語の主要な意味を整理しました。
hold(保持する)
物理的保持:hold a pen(ペンを持つ) 開催:hold a meeting(会議を開く) 維持:hold a position(地位を保つ) 収容:hold 100 people(100人収容する)
take(取る)
物理的行為:take a book(本を取る) 時間消費:take 30 minutes(30分かかる) 受け入れ:take responsibility(責任を取る) 交通手段:take a train(電車に乗る)
break(壊す)
物理的破壊:break a window(窓を割る) 中断:break for lunch(昼食休憩する) 記録更新:break a record(記録を破る) 情報伝達:break the news(ニュースを伝える)
cover(覆う)
物理的被覆:cover with a sheet(シートで覆う) 範囲包含:cover all topics(全話題を扱う) 費用負担:cover expenses(費用を負担する) 報道:cover the event(イベントを報道する)
高度な多義語理解テクニック
より複雑な多義語の理解を深めてみましょう。
メタファー(比喩)による意味拡張
物理的な動作から抽象的な概念への拡張を理解します。
run(走る)→ run a business(事業を動かす)
break(壊す)→ break the silence(沈黙を破る)
bridge(橋)→ bridge the gap(ギャップを埋める)
専門用語化による意味特化
一般語が特定分野で専門的意味を持つ場合があります。
mouse:動物のネズミ → コンピューターのマウス
virus:病原体 → コンピューターウイルス
memory:記憶 → コンピューターメモリー
語源による意味理解
語源を知ることで複数の意味の関連性が理解できます。
address:ad(〜に向かって)+ dress(整える)
→ 住所を整える → 住所
→ 問題に向き合う → 対処する
→ 聴衆に向かって → 演説する
ビジネス文書での多義語活用
実際のビジネスシーンでの多義語使用例を見てみましょう。
メールでの使い分け
run の使い分け
- "I'll run this by my manager."(上司に相談します)
- "The campaign will run for three months."(キャンペーンは3ヶ月続きます)
- "Can you run the numbers again?"(数字をもう一度計算してください)
会議での使い分け
address の使い分け
- "Please send it to my email address."(メールアドレスに送ってください)
- "We need to address this problem."(この問題に対処する必要があります)
- "The CEO will address the staff."(CEOがスタッフに演説します)
まとめ
多義語の使い分けのポイントは、文脈とコロケーションから適切な意味を判断することです。
この記事で紹介した使い分け術を使えば、Part5での正答率が確実に向上します。
特に重要なのは:
- 文脈からの意味推測
- コロケーションによる特定
- 品詞による意味の違い
- 専門分野での特殊用法
ぜひ今日から実践して、多義語問題を得点源にしてくださいね!