Part5で「run」を見たとき、「走る」「経営する」「動かす」のどの意味かすぐに判断できますか?
辞書的意味と文脈的意味の問題が出てくると、「辞書の最初の意味で考えたら間違った」「文脈をどう読み取ればいいの?」と悩んでしまうこと、ありますよね。
実は、字面と文脈の意味判断は4つの文脈手がかりと5つの多義語パターンをマスターすれば、25秒以内に確実に正解できるようになります。
今回は、年間約7-8問出題されるこの重要分野を完全攻略して、上級レベルの読解力を身につけていきましょう。
字面と文脈の基本を理解しよう
字面と文脈の違いを簡単に説明すると、「辞書に載っている基本的な意味」と「実際の使用場面での意味」の違いです。
例えば、「run」という語を考えてみてください。 辞書的意味:走る(最も基本的な意味) 文脈的意味:He runs a company.(会社を経営する) 文脈的意味:The program runs smoothly.(プログラムが動く)
TOEICでは、この文脈による意味の変化を正確に読み取る能力が問われるんです。
Part5での出題パターン
字面・文脈の意味判断は、Part5で年間約7-8問出題されます。
主な出題パターンは以下の5つです。
パターン1:多義語の意味選択問題
最も頻出するのが、同じ語の複数の意味から文脈に適切なものを選ぶ問題です。
例題:
The new software will _____ on all operating systems.
(A) run
(B) walk
(C) move
(D) go
正解は(A)です。 ここでの「run」は「動作する」という意味で使われています。
パターン2:慣用表現の意味判断問題
字面通りの意味ではなく、慣用的な意味を問う問題も頻出します。
「break the ice」「cut corners」などの表現です。
パターン3:比喩的表現の理解問題
文字通りの意味ではなく、比喩的な意味を理解する必要がある問題もあります。
ビジネス英語では比喩表現が多用されます。
パターン4:専門用語の文脈的意味問題
一般的な意味とは異なる専門分野での意味を問う問題もあります。
IT、金融、医療などの分野特有の用法です。
パターン5:語彙の感情的ニュアンス問題
同じ辞書的意味でも、文脈によって感情的なニュアンスが変わる問題もあります。
「cheap」vs「inexpensive」のような違いです。
4つの文脈手がかりをマスター
文脈から正確な意味を読み取るための4つの手がかりを整理しましょう。
手がかり1:周辺語彙からの推測
直前・直後の語から意味を推測
run a business(事業を経営する)
→ business があることで「経営する」と判断
run out of time(時間が切れる)
→ out of があることで「尽きる」と判断
手がかり2:文の主語・目的語からの判断
主語や目的語の性質から意味を特定
The computer runs the program.
→ 主語がcomputer なので「実行する」
He runs every morning.
→ 主語がHe(人)なので「走る」
手がかり3:文脈の分野・場面からの判定
ビジネス、技術、日常など分野による意味の特定
ビジネス文脈:run a company(経営する)
技術文脈:run software(動かす)
日常文脈:run in the park(走る)
手がかり4:文全体の論理的な流れ
文章の論理的な展開から意味を推測
The meeting was productive. We managed to address all the issues.
→ address は「対処する」(住所ではない)
5つの多義語パターンをマスター
TOEICで特に重要な5つの多義語パターンを詳しく見ていきましょう。
パターン1:基本動作から抽象概念への展開
run の多義性
- 走る(基本的意味)→ He runs fast.
- 経営する(抽象的)→ She runs a restaurant.
- 動作する(機械)→ The engine runs smoothly.
- 続く(時間)→ The meeting ran over time.
- 立候補する(政治)→ He's running for president.
break の多義性
- 壊す(基本的意味)→ Don't break the glass.
- 休憩する(時間)→ Let's take a break.
- 違反する(規則)→ Break the law.
- 突破する(記録)→ Break the record.
- 中断する(継続)→ Break the silence.
パターン2:具体的物体から抽象概念への展開
head の多義性
- 頭(身体部位)→ He hit his head.
- 責任者(組織)→ She's the head of department.
- 向かう(方向)→ Head to the office.
- 先頭(位置)→ At the head of the line.
hand の多義性
- 手(身体部位)→ Wash your hands.
- 助ける(支援)→ Give me a hand.
- 渡す(動作)→ Hand in the report.
- 針(時計)→ The hour hand.
パターン3:感覚動詞の意味拡張
see の多義性
- 見る(視覚)→ I can see the mountain.
- 理解する(認識)→ I see what you mean.
- 会う(面会)→ See you tomorrow.
- 確認する(確認)→ See if it works.
feel の多義性
- 触る(触覚)→ Feel the texture.
- 感じる(感情)→ Feel happy.
- 思う(意見)→ I feel that it's wrong.
- 雰囲気がある(印象)→ It feels like rain.
パターン4:移動動詞の抽象化
come の多義性
- 来る(移動)→ Come here.
- 到達する(結果)→ Come to a conclusion.
- 生じる(発生)→ Problems may come up.
- 由来する(起源)→ Where do you come from?
go の多義性
- 行く(移動)→ Go home.
- 機能する(動作)→ Does this machine go?
- 進行する(進展)→ How did the meeting go?
- 消失する(変化)→ The pain will go away.
パターン5:動作動詞のビジネス用法
take の多義性
- 取る(基本動作)→ Take the book.
- 必要とする(要求)→ It takes time.
- 受ける(受容)→ Take responsibility.
- 行う(実行)→ Take action.
- 理解する(解釈)→ Take it seriously.
間違えやすいポイント
日本人学習者が特に間違えやすいのは、以下の点です。
- 辞書の最初の意味への固執:基本的意味だけで判断してしまう
- 日本語の語感の適用:日本語の多義語の感覚を英語に当てはめる
- 文脈手がかりの見落とし:周辺の語彙や文脈を考慮しない
特に辞書の最初の意味への固執は、多くの人が見落としがちです。
確実に正解するための判断フロー
では、実際の解き方を見ていきましょう。
ステップ1:周辺語彙をチェック
空欄の前後にある語彙から意味の手がかりを探します。
ステップ2:主語・目的語を分析
文の主語や目的語の性質から適切な意味を推測します。
ステップ3:文脈の分野を特定
ビジネス、技術、日常などの分野を判別します。
ステップ4:論理的整合性を確認
選んだ意味で文全体が論理的に成り立つかを確認します。
練習問題にチャレンジ
理解度を確認するために、練習問題を解いてみましょう。
問題1:The new policy will _____ all employees in the company.
(A) cover
(B) hide
(C) protect
(D) include
考えてみてくださいね。
正解は(A)です!
「policy」(方針)と「employees」の文脈から、「cover」は「適用される」という意味になります。
問題2:Please _____ the contract carefully before signing.
(A) see
(B) look
(C) review
(D) watch
正解は(C)です!
「contract」(契約書)という文脈から、「review」(検討する)が最も適切です。
ビジネス英語特有の文脈的意味
ビジネス分野でよく使われる文脈的意味を整理しましょう。
金融・会計分野
bear の多義性
一般的意味:熊、耐える
ビジネス意味:bear interest(利息がつく)
bear the cost(費用を負担する)
yield の多義性
一般的意味:譲る、産出する
ビジネス意味:yield a profit(利益を生む)
bond yield(債券利回り)
IT・技術分野
crash の多義性
一般的意味:衝突、墜落
IT意味:system crash(システムダウン)
program crash(プログラム異常終了)
boot の多義性
一般的意味:ブーツ、蹴る
IT意味:boot up(起動する)
reboot(再起動)
人事・管理分野
fire の多義性
一般的意味:火、発砲
人事意味:fire an employee(従業員を解雇する)
hire の多義性
一般的意味:雇う、借りる
人事意味:hire staff(スタッフを採用する)
for hire(貸し出し中)
実践での瞬間判断テクニック
本番で素早く解くためのコツをお伝えします。
-
キーワードを瞬時に特定
- business, company → ビジネス用法
- computer, system → IT用法
- contract, policy → 法務用法
-
主語・目的語の性質をチェック
- 人 → 一般的意味の可能性高
- 機械・システム → 技術的意味
- 組織・制度 → ビジネス的意味
-
前置詞との組み合わせを確認
- run + out of → 「尽きる」
- break + into → 「侵入する」
- come + up with → 「思いつく」
慣用表現・比喩表現の理解
字面通りではない慣用表現も重要です。
ビジネスでよく使われる慣用表現
会議・議論関連
break the ice(場を和ませる)
get down to business(本題に入る)
think outside the box(既成概念にとらわれずに考える)
問題・課題関連
address the issue(問題に対処する)
tackle the problem(問題に取り組む)
iron out the difficulties(困難を解決する)
成功・失敗関連
hit the target(目標を達成する)
miss the mark(的外れである)
fall short of expectations(期待に応えない)
時間・締切関連
beat the deadline(締切に間に合う)
race against time(時間と競争する)
buy time(時間稼ぎをする)
感情的ニュアンスの違い
同じ辞書的意味でも感情的ニュアンスが異なる例を見てみましょう。
ポジティブ・ネガティブ・中立の違い
「安い」の表現
中立:inexpensive(高くない)
ポジティブ:affordable(手頃な)
ネガティブ:cheap(安っぽい)
「古い」の表現
中立:old(古い)
ポジティブ:vintage(ヴィンテージの)
ネガティブ:outdated(時代遅れの)
「薄い」の表現
中立:thin(薄い)
ポジティブ:slim(スリムな)
ネガティブ:skinny(やせすぎの)
まとめ
字面と文脈の意味判断のポイントは、「周辺語彙から手がかりを探す」「主語・目的語の性質を分析する」「文脈の分野を特定する」「論理的整合性を確認する」ということです。
この記事で紹介した4つの文脈手がかりと5つの多義語パターンを意識すれば、Part5での正答率が確実に上がります。
ぜひ今日から実践して、スコアアップを目指してくださいね!