Part5で「take into account」の選択肢で「take in account」があると迷ったことはありませんか?
「なぜ『into』じゃないといけないの?『in』でも意味は通じるのに...」と思うこと、ありますよね。
実は、これが語彙的制約の問題で、英語には変更できない固定された表現が数多く存在します。これらを知らないと、730点以上の高得点問題で確実に失点してしまうんです。
今回は、Part5で年間約5-8問出題される語彙的制約と慣用表現を、効率的な記憶法も含めて完全マスターしていきましょう!
語彙的制約とは何か
まず、語彙的制約の基本概念を理解しましょう。
語彙的制約の定義
語彙的制約(Lexical Constraints) = 特定の語彙や表現において、使用できる語が固定されている制約
例:
- ✅ take into account(考慮に入れる)
- ❌ take in account(文法的には可能だが慣用的でない)
- ✅ by all means(ぜひとも)
- ❌ by every means(文法的には可能だが慣用的でない)
日常生活で例えると、決まった言い回しのようなものです。 「一石二鳥」は正しいけど、「一石二羽」とは言わないのと同じですね。
つまり、論理的な理由よりも慣用的な使用法が優先される表現があるんです。
TOEIC頻出の固定表現パターン
Part5でよく出題される固定表現を分類して整理しました。
前置詞が固定される表現
take系の固定表現
- take into account(考慮に入れる)※intoは変更不可
- take for granted(当然と思う)※forは変更不可
- take part in(参加する)※inは変更不可
- take advantage of(利用する)※ofは変更不可
- take care of(世話をする)※ofは変更不可
make系の固定表現
- make use of(利用する)※ofは変更不可
- make up for(補う)※up forは変更不可
- make sense of(理解する)※ofは変更不可
- make room for(場所を空ける)※forは変更不可
by系の固定表現
- by all means(ぜひとも)※allは変更不可
- by no means(決して~ない)※noは変更不可
- by any chance(もしかして)※anyは変更不可
- by and large(大体において)※全体が固定
形容詞・副詞が固定される表現
強調表現での固定
- highly recommend(強く推奨する)※highlyは変更不可
- strongly suggest(強く提案する)※stronglyは変更不可
- deeply concerned(深く懸念している)※deeplyは変更不可
- fully understand(完全に理解する)※fullyは変更不可
程度表現での固定
- completely different(全く異なる)※completelyは変更不可
- entirely new(全く新しい)※entirelyは変更不可
- absolutely necessary(絶対に必要な)※absolutelyは変更不可
- totally unacceptable(全く受け入れられない)※totallyは変更不可
名詞が固定される表現
ビジネス表現での固定
- pay attention to(注意を払う)※attentionは変更不可
- make progress(進歩する)※progressは変更不可
- take place(行われる)※placeは変更不可
- keep in mind(心に留める)※mindは変更不可
時間・場所表現での固定
- at the same time(同時に)※timeは変更不可
- in the meantime(その間に)※meantimeは変更不可
- on the other hand(一方で)※handは変更不可
- for the time being(当分の間)※全体が固定
Part5での出題パターン
語彙的制約は、Part5で主に5つのパターンで出題されます。
パターン1:前置詞選択問題
例題:
Please take this information _____ account when making your decision.
(A) in
(B) into
(C) on
(D) with
正解は(B)です。 「take into account」が固定表現です。
パターン2:修飾語選択問題
例題:
We _____ recommend this product to all our customers.
(A) high
(B) highly
(C) height
(D) higher
正解は(B)です。 「highly recommend」が慣用的な組み合わせです。
パターン3:名詞選択問題
例題:
The conference will take _____ in the main auditorium.
(A) part
(B) place
(C) time
(D) action
正解は(B)です。 「take place」(行われる)が固定表現です。
パターン4:全体の慣用句選択
例題:
_____, the project was completed successfully despite the challenges.
(A) By all means
(B) By any means
(C) By no means
(D) By and large
正解は(D)です。 「By and large」(大体において)が文脈に適切です。
パターン5:語順の固定
例題:
We need to _____ this issue before proceeding.
(A) make sense of
(B) make of sense
(C) sense make of
(D) of make sense
正解は(A)です。 「make sense of」の語順は固定されています。
間違えやすい固定表現
日本人学習者がよく間違える語彙的制約を整理しました。
よくある間違い1:前置詞の論理的推測
間違いの例:
- ❌ take in account(「account の中に入れる」と論理的に考える)
- ✅ take into account(慣用的な表現)
間違いの例:
- ❌ make use from(「~から利用する」と論理的に考える)
- ✅ make use of(慣用的な表現)
よくある間違い2:類似語での置き換え
間違いの例:
- ❌ every means(allと似た意味だから)
- ✅ all means(固定表現)
間違いの例:
- ❌ very recommend(強調だからveryでも良いと思う)
- ✅ highly recommend(慣用的な組み合わせ)
よくある間違い3:語順の自由な変更
間違いの例:
- ❌ sense make of(語順を変更)
- ✅ make sense of(固定された語順)
間違いの例:
- ❌ account into take(語順を変更)
- ✅ take into account(固定された語順)
ビジネス英語での重要な固定表現
実際のビジネスシーンでよく使われる固定表現を場面別に整理しました。
会議・議論での固定表現
意見・提案関連:
- bring up a topic(話題を持ち出す)
- point out an issue(問題を指摘する)
- carry out a plan(計画を実行する)
- follow up on something(フォローアップする)
決定・合意関連:
- come to an agreement(合意に達する)
- reach a decision(決定に達する)
- arrive at a conclusion(結論に到達する)
- settle on a solution(解決策に決める)
プロジェクト管理での固定表現
進捗・成果関連:
- make headway(進歩する)
- fall behind schedule(予定より遅れる)
- stay on track(軌道に乗っている)
- wrap up a project(プロジェクトを完了する)
問題・対応関連:
- run into problems(問題に遭遇する)
- deal with issues(問題に対処する)
- sort out difficulties(困難を解決する)
- work around obstacles(障害を回避する)
顧客・営業での固定表現
関係構築関連:
- build up trust(信頼を築く)
- establish rapport(関係を築く)
- maintain contact(連絡を維持する)
- strengthen ties(つながりを強化する)
販売・提案関連:
- put forward a proposal(提案を出す)
- draw up a contract(契約を作成する)
- close a deal(取引を成立させる)
- follow through on commitments(約束を守り抜く)
効率的な記憶法
固定表現を確実に覚えるための方法をご紹介します。
方法1:意味分野別のグループ化
時間関連の固定表現:
- at the same time, in the meantime, for the time being
- 時間に関する表現をまとめて覚える
場所関連の固定表現:
- take place, in place of, out of place
- 場所に関する表現をグループ化
方法2:動詞中心のクラスター学習
take系をまとめて:
- take into account, take for granted, take part in, take advantage of
- 同じ動詞の表現を系統的に学習
make系をまとめて:
- make use of, make sense of, make up for, make room for
- 関連表現を一括して習得
方法3:対比ペアでの学習
肯定と否定のペア:
- by all means ↔ by no means
- 対照的な表現を組み合わせて記憶
類似表現の区別:
- highly recommend vs strongly suggest
- 微妙な違いを意識して覚える
方法4:文脈での実践的学習
実際のビジネス文書で確認:
- メール、報告書、提案書での使用例
- 自然な文脈の中で表現を習得
シチュエーション別の練習:
- 会議、プレゼン、交渉での使用場面
- 実用的な場面と結びつけて記憶
練習問題にチャレンジ
理解度を確認してみましょう。
問題1:We need to _____ this proposal before making a final decision.
(A) take into account
(B) take in account
(C) take on account
(D) take by account
考えてみてくださいね。
正解は(A)です!
「take into account」が正しい固定表現です。「考慮に入れる」という意味で、intoは変更できません。 この表現は慣用的に決まっているため、論理的に考えても他の前置詞は使えません。
問題2:The manager _____ recommended that all employees attend the training session.
(A) high
(B) highly
(C) height
(D) higher
正解は(B)です!
「highly recommend」が慣用的な組み合わせです。「強く推奨する」という意味で、highlyが固定されています。 「very recommend」なども不自然で、この文脈ではhighlyが最適です。
高得点のための戦略
730点以上を目指すための学習戦略をご紹介します。
戦略1:慣用性の重視
- 論理的正しさより慣用的使用法を優先
- ネイティブスピーカーの感覚に近づける
- 「なぜ?」より「そういうもの」として受け入れる
戦略2:頻出パターンの完全習得
- ビジネス英語でよく使われる表現を重点的に
- 前置詞が固定される表現を特に注意
- 修飾語と動詞の固定的組み合わせを覚える
戦略3:文脈での自然性判断
- 単語レベルでなく表現レベルで覚える
- ビジネス文書での実用例を確認
- 不自然な表現を直感的に排除する能力を養う
戦略4:体系的な整理
- 動詞別、前置詞別での分類整理
- 意味分野別でのグループ化
- 対比・類似表現での差異の明確化
レベル別学習指針
600点レベル:基本固定表現
- take into account, make use of, by all means
- 最頻出の基本表現を確実に
730点レベル:ビジネス固定表現
- highly recommend, strongly suggest, completely different
- ビジネス文書で必須の表現を習得
860点レベル:高度な慣用表現
- by and large, for the time being, make headway
- より sophisticated な表現を使いこなす
まとめ
語彙的制約をマスターするポイントは、論理より慣用を重視することです。
重要な固定表現カテゴリ:
- 前置詞固定:take into account, make use of
- 修飾語固定:highly recommend, strongly suggest
- 名詞固定:take place, make progress
- 全体固定:by and large, for the time being
これらの固定表現を正確に理解すれば、Part5での語彙問題で直感的に正解を選べるようになり、730点以上の高得点が確実に見えてきます。
ぜひ今日から慣用表現を意識的に学習して、より自然で説得力のあるビジネス英語を身につけてくださいね!