TOEIC Part6で「He must be the new manager.」という文を見て、「mustは『しなければならない』という意味ではないの?」と混乱したことはありませんか?
「The meeting must have started already.」という文で、なぜmustが使われているのか理解に苦しむことが多いのではないでしょうか。
「mustは義務の意味しか知らない」「推量で使うmustがよくわからない」という声をよく聞きます。実は、mustには義務だけでなく、確信度の高い推測を表す重要な用法があり、それを理解すればTOEICでの正解率が大幅に向上します。
今回は、TOEICで頻出するmustの推量用法を、確信度の観点から実践的にお伝えします。
must の2つの主要用法
まず、mustの2つの主要な用法を理解しましょう。
1. 義務・必要のmust
強い義務:
You must submit the report by Friday.
(金曜日までにレポートを提出しなければなりません)
→ 義務・強制
必要性:
We must improve our customer service.
(カスタマーサービスを改善しなければなりません)
→ 必要性・緊急性
2. 推量・推測のmust
確信度の高い推測:
He must be the new manager.
(彼が新しいマネージャーに違いありません)
→ 論理的確信
過去の推測:
The meeting must have started already.
(会議はもう始まっているに違いありません)
→ 過去の状況への確信
確信度の比較
確信度の強さ:
must(99%確信)> will probably(80%確信)> may(50%確信)> might(30%確信)
推量のmustの詳細な使い方
現在の状況への推測
論理的推論:
The lights are on. Someone must be in the office.
(電気がついている。誰かがオフィスにいるに違いない)
→ 証拠に基づく推論
状況からの判断:
She must be busy. She hasn't answered her phone all day.
(彼女は忙しいに違いない。一日中電話に出ていない)
→ 状況からの確信
外見からの推測:
He must be tired. He looks exhausted.
(彼は疲れているに違いない。とても疲れて見える)
→ 観察に基づく推測
過去の状況への推測
must have + 過去分詞:
The project must have been completed yesterday.
(プロジェクトは昨日完了したに違いありません)
→ 過去の確信
間接的な証拠からの推測:
They must have received our email. They replied immediately.
(彼らは私たちのメールを受け取ったに違いない。すぐに返信してきた)
→ 結果からの推論
時間的推測:
The meeting must have lasted three hours.
(会議は3時間続いたに違いありません)
→ 時間の推定
文脈による判断方法
義務 vs 推量の判別
義務のmustの特徴:
- 「~しなければならない」の意味
- 命令や規則の文脈
- 未来への指示
推量のmustの特徴:
- 「~に違いない」の意味
- 証拠や状況に基づく推論
- 現在や過去への確信
判別のキーワード
義務を示すキーワード:
policy, rule, requirement, deadline, necessary
→ 義務のmust
推量を示すキーワード:
evidence, obvious, clearly, look like, sound like
→ 推量のmust
Part6での出題パターン
典型的な問題例
問題1:
The CEO's car is in the parking lot. He _____ be in the building.
(A) should
(B) must
(C) will
(D) can
判断のポイント:
- 「CEO's car is in the parking lot」→ 証拠
- 論理的確信 → must
- 答え:(B) must
問題2:
Based on the sales figures, the new product _____ have been successful.
(A) should
(B) must
(C) will
(D) could
判断のポイント:
- 「Based on the sales figures」→ 証拠に基づく
- 「have been」→ 過去の推測
- 答え:(B) must
問題3:
All employees _____ complete the safety training before starting work.
(A) should
(B) must
(C) may
(D) might
判断のポイント:
- 「All employees」→ 全員への指示
- 「before starting work」→ 必須条件
- 答え:(B) must(義務)
選択の判断基準
推量のmustを選ぶ場合:
- 証拠や状況が提示されている
- 論理的確信を表す文脈
- 「~に違いない」の意味
義務のmustを選ぶ場合:
- 規則や方針の説明
- 必要性や緊急性の文脈
- 「~しなければならない」の意味
実践的な選択テクニック
テクニック1:証拠確認法
証拠の存在をチェック:
明確な証拠がある場合:
- 観察できる事実
- 測定可能なデータ
- → 推量のmust
証拠がない場合:
- 一般的な規則
- 必要性の説明
- → 義務のmust
テクニック2:時制分析法
時制による判定:
現在の推測:
- must + 動詞の原形
- 現在の状況への確信
過去の推測:
- must have + 過去分詞
- 過去の出来事への確信
未来の義務:
- must + 動詞の原形
- 未来への指示・命令
テクニック3:文脈トーン分析法
文脈のトーンを確認:
推論・分析的トーン:
- based on, judging from, obviously
- → 推量のmust
指示・命令的トーン:
- policy, rule, required, necessary
- → 義務のmust
ビジネス文脈での推量must
分析・報告での使用
データ分析:
Sales must have improved significantly based on these figures.
(この数字を見ると、売上は大幅に改善したに違いありません)
市場分析:
The competitor must be struggling with their new product launch.
(競合他社は新製品発売で苦戦しているに違いありません)
業績推測:
The project must be behind schedule. The deadline is next week.
(プロジェクトは遅れているに違いない。締切は来週だ)
状況判断での使用
会議の推測:
The meeting must have been cancelled. The conference room is empty.
(会議はキャンセルされたに違いない。会議室が空いている)
人事の推測:
She must be the new department head. Everyone is reporting to her.
(彼女が新しい部長に違いない。みんなが彼女に報告している)
システムの推測:
The system must be down. No one can access their files.
(システムがダウンしているに違いない。誰もファイルにアクセスできない)
否定文での推量must
must not vs can't
must not(義務の否定):
You must not use company equipment for personal purposes.
(会社の機器を私的目的で使用してはいけません)
→ 禁止
can't(推量の否定):
He can't be the manager. He's too young.
(彼がマネージャーのはずがない。若すぎる)
→ 推量の否定
推量の否定表現
cannot/can't を使用:
The report can't be finished yet. They just started yesterday.
(レポートがまだ完成しているはずがない。昨日始めたばかりだ)
よくある間違いパターン
間違い1:推量と義務の混同
間違い例:
The meeting room is dark. They must turn off the lights.
(会議室が暗い。彼らは電気を消さなければならない)
正しい例:
The meeting room is dark. They must have turned off the lights.
(会議室が暗い。彼らは電気を消したに違いない)
解説:
- 証拠に基づく推測 → must have
間違い2:時制の誤用
間違い例:
He must arrived early. His car is here.
(彼は早く到着したに違いない。車がここにある)
正しい例:
He must have arrived early. His car is here.
(彼は早く到着したに違いない。車がここにある)
解説:
- 過去の推測 → must have + 過去分詞
間違い3:確信度の誤判断
間違い例:
It might be raining. I can hear thunder.
(雨が降っているかもしれない。雷が聞こえる)
正しい例:
It must be raining. I can hear thunder.
(雨が降っているに違いない。雷が聞こえる)
解説:
- 明確な証拠 → 高い確信度(must)
実践練習問題
練習問題1
The presentation is tomorrow, but Tom isn't here. He _____ be preparing at home.
(A) should
(B) must
(C) will
(D) might
答え:(B) must (状況からの論理的推測 → must)
練習問題2
All visitors _____ register at the front desk before entering the building.
(A) should
(B) must
(C) may
(D) can
答え:(B) must (必須の手続き → 義務のmust)
練習問題3
The project _____ have cost more than expected. The budget is exceeded.
(A) should
(B) must
(C) will
(D) could
答え:(B) must (予算超過の証拠に基づく過去の推測 → must have)
他の推量表現との比較
確信度による使い分け
must(99%確信):
He must be the CEO. Everyone is greeting him respectfully.
(彼がCEOに違いない。みんなが敬意を込めて挨拶している)
should(80%確信):
He should be the CEO based on his age and demeanor.
(年齢と態度から判断して、彼がCEOのはずです)
may/might(50%以下):
He might be the CEO, but I'm not sure.
(彼がCEOかもしれませんが、確信はありません)
ビジネス文書での使い分け
確実な分析:
The data shows that sales must have increased by 20%.
(データは売上が20%増加したことを示している)
→ データに基づく確信
推定・予測:
Sales should increase by 20% if the trend continues.
(この傾向が続けば、売上は20%増加するはずです)
→ 予測に基づく推定
学習効率化のコツ
用法判別チェックリスト
推量のmustの条件:
- 証拠や状況が提示されているか?
- 論理的推論の文脈か?
- 「~に違いない」の意味か?
- 現在または過去への確信か?
文脈キーワード暗記
推量のキーワード:
- based on, judging from, obviously
- evidence, proof, clear indication
- look like, sound like, seem like
義務のキーワード:
- policy, rule, regulation, required
- necessary, essential, mandatory
実例分析法
推量mustの実例収集:
- データ分析での使用例
- 状況判断での使用例
- 論理的推論での使用例
まとめ
mustの推量用法は、確信度の高い論理的推測を表現する重要な文法項目です。
重要なポイント:
1.
2つの用法:義務 vs 推量
2.
確信度:must(99%)> should(80%)> may(50%)
3.
証拠の存在:推量mustには根拠が必要
4.
時制の使い分け:現在(must + 原形)vs 過去(must have + 過去分詞)
判断の手順:
- 証拠や状況の有無を確認
- 文脈のトーンを分析
- 時制を確認
- 確信度を判定
- 適切な用法を選択
主な使い分け:
- 推量must:証拠に基づく確信(~に違いない)
- 義務must:規則や必要性(~しなければならない)
この方法をマスターすれば、Part6でのmust問題で迷うことはなくなります。 今日から実践して、確信度の高い推測表現を身につけましょう!