Part5で「The company announced its new policy. _ will be implemented next month.」を見て「It?This?」と迷ったことはありませんか?
「代名詞の選び方がよく分からない...何を指しているのか混乱してしまう」と悩んでしまうこと、ありますよね。
実は、代名詞による文の結束には5つの明確な方法があり、そのパターンさえ覚えれば迷うことなく正解できるようになります。
今回は、TOEIC Part5で年間約9問出題される代名詞の結束性を、分かりやすくお伝えします。
文の結束性の基本を理解しよう
文の結束性を簡単に説明すると、「文章をつなげて一つのまとまりにする仕組み」です。
例えば、「田中さんは新しい車を買いました。それはとても速いです。」という文では、「それ」が「車」を指すことで2つの文がつながっていますよね。
これと同じように、英語でも代名詞を使って前の文の内容を受けることで、文章全体に一貫性と流れを作るんです。
TOEICでは、この代名詞の照応関係(何を指しているか)を正確に理解することが重要です。
Part5での代名詞結束出題パターン
代名詞による結束性は、Part5で年間約9問出題される重要な分野です。
主な出題パターンは以下の5つです。
パターン1:人称代名詞の照応
最も頻出するのが、it、they、themなどの人称代名詞の照応を問うパターンです。
例題:
The new software has been tested extensively. _____ will be released next quarter.
(A) It
(B) They
(C) This
(D) That
正解は(A)です。 「software」(単数)を受けるので「It」が正解です。
パターン2:指示代名詞の選択
this、that、these、thoseの使い分けを問うパターンもあります。
パターン3:所有代名詞の照応
its、their、his、herなどの所有代名詞の適切な選択パターンです。
パターン4:関係代名詞による結束
which、thatなどの関係代名詞による文の接続パターンもあります。
パターン5:代名詞の省略判断
代名詞を使うか、名詞を繰り返すかの判断パターンです。
5つの代名詞結束方法
代名詞を使って文の結束性を作る5つの方法を詳しく見ていきましょう。
方法1:直接照応(Direct Reference)
直前の名詞を代名詞で受ける最も基本的な方法です。
基本パターン:
The company launched a new product. It has received positive reviews.
(会社は新製品を発売した。それは好評を得ている)
→ 「It」が「product」を指す
複数形の場合:
The employees attended the meeting. They discussed the new policy.
(従業員が会議に出席した。彼らは新方針を議論した)
→ 「They」が「employees」を指す
方法2:概念照応(Conceptual Reference)
前の文全体や抽象的な概念を代名詞で受ける方法です。
文全体を受ける:
The sales team exceeded their targets. This pleased the management.
(営業チームは目標を上回った。これは経営陣を喜ばせた)
→ 「This」が「目標を上回ったこと」全体を指す
抽象概念を受ける:
We need to improve efficiency. That is our main priority.
(効率を改善する必要がある。それが我々の主要な優先事項だ)
→ 「That」が「効率改善の必要性」という概念を指す
方法3:距離照応(Distance Reference)
距離感に応じてthis/thatを使い分ける方法です。
近い内容(this):
The meeting ended successfully. This outcome exceeded our expectations.
(会議は成功裏に終わった。この結果は期待を上回った)
→ 直前の内容なので「This」
遠い内容(that):
Last year we launched three products. The first two failed, but the third succeeded. That success changed our strategy.
(昨年3つの製品を発売した。最初の2つは失敗したが、3番目は成功した。その成功が戦略を変えた)
→ 少し前の内容なので「That」
方法4:所有照応(Possessive Reference)
所有関係を表す代名詞で結束を作る方法です。
単数所有:
The company announced its quarterly results. Its performance exceeded expectations.
(会社は四半期結果を発表した。その業績は期待を上回った)
→ 「its」が「company」の所有を表す
複数所有:
The employees submitted their reports. Their dedication was remarkable.
(従業員がレポートを提出した。彼らの献身は素晴らしかった)
→ 「their」が「employees」の所有を表す
方法5:関係照応(Relative Reference)
関係代名詞で前の名詞とつなげる方法です。
制限用法:
The strategy that we implemented last year proved successful.
(昨年実施した戦略は成功だった)
→ 「that」が「strategy」を受けて詳細情報を追加
非制限用法:
The new policy, which was announced yesterday, will take effect next month.
(昨日発表された新方針は来月発効する)
→ 「which」が「policy」を受けて補足情報を追加
照応関係の判断テクニック
代名詞が何を指しているかを正確に判断する方法を紹介します。
テクニック1:数の一致をチェック
代名詞と先行詞の数(単数・複数)が一致しているかを確認します。
The managers → They(複数)
The company → It(単数)
The policies → They(複数)
テクニック2:距離の原則
一般的に、代名詞は最も近い適切な名詞を指します。
The company hired new employees. The manager trained them.
→ 「them」は直前の「employees」を指す
テクニック3:論理的関係を確認
文脈的に意味が通るかどうかを確認します。
The product was successful. It increased our revenue.
→ 製品が売上を増加させるのは論理的
テクニック4:格の一致
代名詞の格(主格・目的格・所有格)が文中の役割と一致するかを確認します。
主語位置 → It, They(主格)
目的語位置 → It, Them(目的格)
所有関係 → Its, Their(所有格)
よくある間違いと対策
日本人学習者が特に間違えやすいポイントを整理しました。
間違い1:数の不一致
間違った例:
❌ The employees are dedicated. It works hard every day.
正しい例:
✅ The employees are dedicated. They work hard every day.
(複数形なので「They」)
間違い2:this/thatの混同
間違った例:
❌ We launched a new product yesterday. That is very innovative.
正しい例:
✅ We launched a new product yesterday. This is very innovative.
(直前の内容なので「This」)
間違い3:曖昧な照応
間違った例:
❌ The manager and the employee discussed the project. He was satisfied.
(誰が満足したか不明)
正しい例:
✅ The manager and the employee discussed the project. The manager was satisfied.
(明確に表現)
練習問題にチャレンジ
理解度を確認するために、練習問題を解いてみましょう。
問題1:次の文で適切な代名詞はどれでしょうか?
The sales team exceeded their quarterly targets. _____ achievement earned them a bonus.
(A) It
(B) This
(C) That
(D) They
5つの結束方法を考えて答えてみてくださいね。
正解は(B) Thisです!
解答プロセス:
- 前文の「目標を上回った」という成果全体を指す
- 直前の概念なので「This」が適切
- 概念照応の方法を使用
問題2:次の文で適切な代名詞はどれでしょうか?
The new computers have arrived. _____ will be distributed to each department.
(A) It
(B) This
(C) They
(D) That
正解は(C) Theyです!
解答プロセス:
- 「computers」(複数)を受ける
- 直接照応で複数形の主格が必要
- 「They」が適切
ビジネス英語での実践活用
TOEICでよく出るビジネス場面での代名詞結束を紹介します。
報告・プレゼンテーション
Our quarterly revenue increased by 15%. This growth exceeded our initial projections.
(四半期売上が15%増加した。この成長は当初の予測を上回った)
The marketing campaign was very successful. It generated 200% more leads than expected.
(マーケティングキャンペーンは大成功だった。それは予想の200%多くのリードを生み出した)
会議・議論
Several departments have raised concerns about the new policy. These issues need to be addressed promptly.
(いくつかの部署が新方針への懸念を提起した。これらの問題は迅速に対処される必要がある)
The team proposed three solutions. Each of them has merit, but we need to choose one.
(チームは3つの解決策を提案した。それぞれに利点があるが、1つを選ぶ必要がある)
顧客対応
We have received your complaint about the delayed shipment. We sincerely apologize for this inconvenience.
(出荷遅延に関するご苦情を受け取りました。このご不便をおかけして心よりお詫び申し上げます)
実戦での時短テクニック
代名詞問題を効率的に解くコツを紹介します。
テクニック1:先行詞を素早く特定
選択肢を見る前に、代名詞が指すべき名詞を特定しましょう。
テクニック2:数と格をチェック
単数・複数、主格・目的格・所有格を瞬時に確認します。
テクニック3:文脈の流れを把握
前後の文の論理的なつながりを意識して選択肢を絞ります。
結束性向上のコツ
文章の結束性を高めるための追加のコツを紹介します。
コツ1:繰り返しを避ける
同じ名詞の繰り返しを代名詞で置き換えて、自然な文章にします。
コツ2:適度な変化を付ける
代名詞ばかりでなく、時には同義語や言い換えも使用します。
コツ3:読み手を意識する
読み手が混乱しないよう、照応関係を明確にします。
まとめ
代名詞による文の結束性のポイントは、5つの結束方法を適切に使い分けることです。
5つの結束方法:
- 直接照応 - 直前の名詞を受ける
- 概念照応 - 文全体や抽象概念を受ける
- 距離照応 - this/thatで距離感を表現
- 所有照応 - 所有関係で結束を作る
- 関係照応 - 関係代名詞で詳細情報を追加
判断のポイント:
- 数の一致 - 単数・複数の対応
- 距離の原則 - 最も近い適切な名詞
- 論理的関係 - 文脈的な妥当性
- 格の一致 - 主格・目的格・所有格
これらの方法とテクニックをマスターすれば、Part5での代名詞問題は確実に得点源になります。
文の結束性は読解力向上の基礎でもあるので、Part6、Part7の対策にも大きく役立ちます。
ぜひ今日から実践して、代名詞の結束力でスコアアップを目指してくださいね!