関係詞の問題で「どれも正解に見える」と感じたことはありませんか?
「who、which、thatの使い分けが分からない」「コンマがある時とない時で何が違うの?」といった疑問を持つ方も多いはずです。
実は、関係詞には制限用法と非制限用法という2つの根本的に異なる使い方があり、これを理解すれば関係詞問題が劇的に簡単になります。
今回は、TOEICで頻出する関係詞の本質を徹底解説し、迷わず正解できる判断基準をマスターしていきましょう。
関係詞の基本概念
まず、関係詞が何のために存在するのかを理解しましょう。
関係詞の役割
関係詞は2つの文を1つにつなげるための文法要素です。
例:2つの独立した文
- I have a book.(私は本を持っています)
- The book is interesting.(その本は面白いです)
関係詞でつなげた文
- I have a book that is interesting.(私は面白い本を持っています)
このように、関係詞は情報を効率的に組み合わせる重要な機能を持っています。
Part5での出題傾向
関係詞はPart5全30問中、平均3-4問出題されます。
主な出題パターン:
- 関係代名詞の選択:40%
- コンマの有無の判断:30%
- 前置詞+関係代名詞:20%
- 関係副詞の選択:10%
正答率が高い受験者と低い受験者の差が最も顕著に現れる分野でもあります。
制限用法(Restrictive Use)の本質
制限用法は関係詞の最も基本的な使い方です。
制限用法の定義
制限用法とは、先行詞を特定するために必要不可欠な情報を提供する関係詞の使い方です。
基本例
The employee who works in accounting is very helpful.
(経理部で働いている従業員はとても親切です)
この場合、「who works in accounting」がないと、どの従業員のことか分かりません。
制限用法の特徴
1. コンマを使わない
制限用法では関係詞の前にコンマを置きません。
✅ The document that you requested is ready.
❌ The document, that you requested is ready.
2. 情報が不可欠
関係詞節を取り除くと、文の意味が不完全になります。
元の文:The manager who hired me retired last year.
関係詞節を除去:The manager retired last year.
→ どの管理者か不明
3. thatが使用可能
制限用法ではthatを使うことができます。
The project that we discussed yesterday is approved.
= The project which we discussed yesterday is approved.
Part5での典型的出題例
例題1:関係代名詞の選択
The applicant _____ resume impressed us most will be contacted.
(A) who (B) whose (C) whom (D) which
解法プロセス:
- 先行詞は「applicant」(人)
- 関係詞節内で「resume」の所有者を示す必要
- 所有を表すのは「whose」
正解は(B) 「whose resume」で「その人の履歴書」という意味です。
例題2:thatの使用判断
This is the software _____ can solve our problem.
(A) what (B) that (C) where (D) when
解法プロセス:
- 先行詞は「software」(物)
- 制限用法(コンマなし)
- 関係詞節内で主語が必要
正解は(B) 制限用法で物の主語なので「that」が適切です。
非制限用法(Non-restrictive Use)の本質
非制限用法は制限用法とは根本的に異なる概念です。
非制限用法の定義
非制限用法とは、既に特定されている先行詞に対して、追加情報を提供する関係詞の使い方です。
基本例
Mr. Smith, who is our CEO, will attend the meeting.
(私たちのCEOであるスミスさんが会議に出席します)
この場合、「Mr. Smith」は既に特定されており、「who is our CEO」は補足説明です。
非制限用法の特徴
1. コンマを必ず使う
非制限用法では関係詞の前後にコンマを置きます。
✅ The new policy, which was announced yesterday, affects all departments.
❌ The new policy which was announced yesterday affects all departments.
2. 情報が補足的
関係詞節を取り除いても、文の基本的意味は保たれます。
元の文:Tokyo, which is Japan's capital, has many skyscrapers.
関係詞節を除去:Tokyo has many skyscrapers.
→ 意味は通じる
3. thatは使用不可
非制限用法ではthatを使えません。
✅ My laptop, which I bought last month, is very fast.
❌ My laptop, that I bought last month, is very fast.
Part5での典型的出題例
例題3:コンマの有無による判断
The CEO _____ announced the new policy yesterday is very experienced.
(A) , who (B) who (C) , which (D) which
解法プロセス:
- 「The CEO」は役職で特定されているが、どのCEOか明確でない
- 制限用法が適切(特定が必要)
- コンマは不要
正解は(B) 制限用法なのでコンマなしの「who」です。
例題4:非制限用法の判断
Our headquarters _____ is located in Tokyo, employs 500 people.
(A) , which (B) which (C) , that (D) that
解法プロセス:
- 「Our headquarters」は既に特定済み
- 非制限用法が適切(補足情報)
- コンマが必要、thatは使用不可
正解は(A) 非制限用法なので「, which」です。
制限用法と非制限用法の判別法
2つの用法を確実に見分ける方法をマスターしましょう。
判別の3ステップ
ステップ1:先行詞の特定度を確認
既に特定されているか?
特定済みの例
- 固有名詞:Tokyo, Mr. Smith, Sony
- 唯一性のある表現:our CEO, the only solution
- 所有格:my car, his idea
特定が必要な例
- 一般名詞:the employee, a document
- 複数存在する可能性:managers, customers
ステップ2:情報の必要性を判断
関係詞節の情報は必要不可欠か?
必要不可欠(制限用法)
The person who called you is waiting outside.
→ 「who called you」がないとどの人か不明
補足的(非制限用法)
Mr. Johnson, who called you earlier, is waiting outside.
→ 「who called you earlier」は追加情報
ステップ3:コンマとthatの使用確認
- 制限用法:コンマなし、that使用可能
- 非制限用法:コンマあり、that使用不可
実践練習問題
練習問題1
The report _____ submitted yesterday contains important data.
(A) , which was (B) which was (C) , that was (D) that was
考えてみてください:
- 先行詞「The report」は特定が必要?
- 「submitted yesterday」は必要不可欠?
正解は(B)または(D) 制限用法なのでコンマなし。whichでもthatでも可能です。
練習問題2
This quarterly report _____ shows excellent results, will be distributed tomorrow.
(A) , which (B) which (C) , that (D) that
考えてみてください:
- 「This quarterly report」は既に特定済み?
- コンマの位置に注目
正解は(A) 非制限用法なので「, which」です。
関係代名詞の使い分け
who、which、that、whoseの正しい選択基準を整理しましょう。
基本的な選択基準
who / whom(人)
- who:関係詞節内で主語
- whom:関係詞節内で目的語(フォーマル)
The manager who leads our team is very supportive.
(主語として使用)
The colleague whom I met yesterday is from Tokyo.
(目的語として使用)
which(物・動物)
- 物や動物を先行詞とする場合
The software which we purchased is very useful.
that(人・物)
- 制限用法でのみ使用可能
- 最も一般的で自然な選択
The employee that joined us last month is very talented.
whose(所有)
- 人・物問わず所有関係を表す
The company whose profits increased is expanding.
Part5での選択戦略
1. 先行詞の確認
- 人 → who/whom/that/whose
- 物 → which/that/whose
2. 用法の確認
- 制限用法 → all options available
- 非制限用法 → that不可
3. 関係詞節内での役割確認
- 主語 → who/which/that
- 目的語 → whom/which/that
- 所有 → whose
前置詞+関係代名詞
より高度な関係詞問題にも対応しましょう。
基本構造
前置詞 + which/whomの形で使用されます。
The project on which we worked was successful.
= The project which we worked on was successful.
Part5での出題例
例題5:前置詞の選択
The conference _____ she presented her research was very successful.
(A) at which (B) in which (C) on which (D) for which
解法プロセス:
- 「present research at a conference」
- 前置詞は「at」
- 先行詞は物なので「which」
正解は(A) 「at a conference」なので「at which」です。
よく出る前置詞+関係代名詞
- in which:場所・時間・状況
- at which:地点・時刻・イベント
- for which:目的・理由
- with which:手段・道具
- to which:方向・対象
間違えやすいポイント
関係詞問題でよくある間違いパターンを整理しましょう。
間違いパターン1:what の誤用
NG例
❌ The book what I read yesterday was interesting.
whatは先行詞を含む関係代名詞なので、先行詞がある場合は使えません。
正解
✅ The book that I read yesterday was interesting.
✅ What I read yesterday was a book.
間違いパターン2:コンマの位置
NG例
❌ The manager who, is very experienced hired three new employees.
コンマは関係詞の直前に置きます。
正解
✅ The manager, who is very experienced, hired three new employees.
間違いパターン3:thatの非制限用法での使用
NG例
❌ Tokyo, that is Japan's capital, has many tourists.
非制限用法ではthatは使用できません。
正解
✅ Tokyo, which is Japan's capital, has many tourists.
効率的な学習法
関係詞を確実にマスターする学習方法をご紹介します。
段階別学習プラン
第1週:基本概念の理解
- 制限用法と非制限用法の違い
- コンマの使い方の基本ルール
- who/which/thatの基本的使い分け
第2週:実践問題演習
- Part5形式の問題を1日10問
- 間違えた問題の分析と復習
- 判別プロセスの定着
第3週:応用パターン学習
- 前置詞+関係代名詞
- 複雑な文構造での関係詞
- 例外パターンの確認
第4週:総合復習と弱点強化
- 全パターンの復習
- 時間制限での練習
- 最終確認テスト
記憶定着のコツ
音読による定着
正しい関係詞の文を音読することで、自然な語感を身につけましょう。
例文作成練習
学習した文法項目を使って、自分で例文を作ってみます。
間違いノートの活用
間違えた問題とその理由を記録し、定期的に見直します。
本番での解答戦略
学習した知識を本番で活用する具体的な戦略です。
時間配分
関係詞問題は1問あたり25-30秒を目標にします。
解答プロセス(30秒以内)
- 先行詞の確認(5秒)
- コンマの有無チェック(5秒)
- 関係詞節内での役割確認(10秒)
- 選択肢の絞り込み(10秒)
確実性の判断
高確率で正解(即答)
- 明確な制限用法/非制限用法
- 基本的なwho/which/that問題
中確率(軽く確認)
- 前置詞+関係代名詞
- 複雑な文構造
低確率(次の問題へ)
- 判断基準が不明確
- 時間がかかりすぎる場合
まとめ
関係詞の本質理解は、Part5攻略の重要な鍵です。
制限用法と非制限用法の違いを理解すれば、
- 関係詞問題の正答率が40%以上向上
- 解答時間が半分以下に短縮
- 迷いがなくなり確信を持って解答可能
という劇的な効果が期待できます。
特に重要なのはコンマの有無による意味の違いです。この概念をマスターすれば、関係詞問題の大部分を確実に正解できるようになります。
まずは基本的な制限用法から始めて、段階的に非制限用法や応用パターンを身につけていきましょう。
継続的な学習と実践で、関係詞を得点源にしてくださいね!