Part5で「manager」を「he」で受けるか「she」で受けるか迷ったことはありませんか?
「代名詞なんて簡単でしょ?」と思っていても、実際には性別が明確でない場合の代名詞選択は、現代英語では複雑なルールがあります。
実は、TOEICでは性別中立的な表現が重視され、従来の「he or she」から**「they」の単数用法**へと変化している重要な文法項目なんです。
今回は、Part5で年間約4-7問出題される代名詞の性別一致を、現代ビジネス英語のルールに沿って完全マスターしていきましょう!
代名詞の性別一致とは
まず、英語の代名詞における性別一致の基本を理解しましょう。
基本的な代名詞の種類
男性を指す代名詞:
- 主格:he(彼は)
- 所有格:his(彼の)
- 目的格:him(彼を・彼に)
女性を指す代名詞:
- 主格:she(彼女は)
- 所有格:her(彼女の)
- 目的格:her(彼女を・彼女に)
性別不明・中立を指す代名詞:
- 主格:they(彼ら・彼女らは)※単数でも使用
- 所有格:their(彼らの・彼女らの)
- 目的格:them(彼らを・彼らに)
日常生活で例えると、友人について話すときの代名詞選択のようなものです。
- 「田中君は忙しい」→ He is busy.
- 「佐藤さんは忙しい」→ She is busy.
- 「その人は忙しい」→ They are busy.(性別不明)
つまり、先行詞の性別に応じて適切な代名詞を選ぶ必要があるんです。
TOEICでの性別判断ルール
TOEICにおける代名詞選択の現代的なルールを整理しましょう。
明確に性別が分かる場合
1. 男性名が明示されている場合
- John submitted his report.(ジョンは彼のレポートを提出した)
- Mr. Smith will present his findings.(スミス氏は彼の発見を発表します)
2. 女性名が明示されている場合
- Sarah completed her project.(サラは彼女のプロジェクトを完成させた)
- Ms. Johnson shared her insights.(ジョンソン氏は彼女の洞察を共有した)
3. 性別特定的な職業・役割
伝統的に男性が多い職業(ただし現代では性別中立化):
- engineer, pilot, CEO(現在はtheyを推奨)
伝統的に女性が多い職業(ただし現代では性別中立化):
- nurse, secretary, teacher(現在はtheyを推奨)
性別が不明または特定できない場合
1. 一般的な職業・役職名
- manager → they/their/them
- employee → they/their/them
- customer → they/their/them
- applicant → they/their/them
2. 不特定の人を指す表現
- someone → they/their/them
- anyone → they/their/them
- everyone → they/their/them
- person → they/their/them
Part5での出題パターン
代名詞の性別一致は、Part5で主に4つのパターンで出題されます。
パターン1:職業・役職名での代名詞選択
例題:
The new manager will announce _____ decision tomorrow.
(A) his
(B) her
(C) their
(D) its
正解は(C)です。 「manager」の性別が不明なので、性別中立的な「their」が適切です。
パターン2:不定代名詞での選択
例題:
Everyone should submit _____ timesheet by Friday.
(A) his
(B) her
(C) his or her
(D) their
正解は(D)です。 「everyone」は単数扱いですが、現代英語では「their」を使います。
パターン3:特定個人での代名詞選択
例題:
Mr. Thompson will give _____ presentation at 3 PM.
(A) his
(B) her
(C) their
(D) its
正解は(A)です。 「Mr. Thompson」は明確に男性なので「his」が正解です。
パターン4:組織・団体での代名詞選択
例題:
The company will announce _____ quarterly results next week.
(A) his
(B) her
(C) their
(D) its
正解は(D)です。 「company」は組織なので「its」を使います。
現代英語での重要な変化
近年の英語使用における重要な変化を理解しましょう。
単数theyの台頭
従来のルール(古い):
- If a student wants to succeed, he or she must study hard.
現代のルール(推奨):
- If a student wants to succeed, they must study hard.
ビジネス英語での実践
性別中立的な表現の例:
- The applicant should bring their resume.(応募者は履歴書を持参すべきです)
- Any employee can submit their suggestions.(どの従業員も提案を提出できます)
- The client will receive their invoice by email.(クライアントは請求書をメールで受け取ります)
TOEICでの扱い
TOEICでは以下を推奨:
- 性別不明 → they/their/them
- 明確な男性 → he/his/him
- 明確な女性 → she/her/her
- 組織・物 → it/its
間違えやすいポイント
日本人学習者が特によく間違える点を整理しました。
よくある間違い1:職業名での固定観念
❌ 間違い: The nurse will give her medication.(看護師=女性の固定観念)
✅ 正解: The nurse will give their medication.(性別中立)
ポイント:
職業による性別の決めつけを避ける
よくある間違い2:everybodyでの複数形動詞
❌ 間違い: Everybody should do their best and they are responsible.
✅ 正解: Everybody should do their best and they are responsible.(theirは可、動詞は単数)
ポイント:
単数theyでも動詞は複数形
よくある間違い3:組織名での人称代名詞
❌ 間違い: Microsoft announced their new product.
✅ 正解: Microsoft announced its new product.
ポイント:
企業名は「it」で受ける
よくある間違い4:性別明示後の代名詞変更
❌ 間違い: John is a manager. They will lead the project.
✅ 正解: John is a manager. He will lead the project.
ポイント:
一度性別が明示されたら一貫して使用
ビジネス英語での実践表現
実際のビジネスシーンでよく使われる代名詞表現を場面別に整理しました。
採用・人事関連
応募者について:
- The candidate should submit their portfolio.(候補者はポートフォリオを提出すべきです)
- Each applicant will receive their result within a week.(各応募者は1週間以内に結果を受け取ります)
従業員について:
- Every employee must update their emergency contact information.(全従業員は緊急連絡先を更新する必要があります)
- The new hire will receive their laptop on the first day.(新入社員は初日にノートパソコンを受け取ります)
顧客・クライアント関連
顧客サービス:
- The customer should keep their receipt for warranty purposes.(顧客は保証のためにレシートを保管すべきです)
- Each client will have their account manager assigned.(各クライアントには担当アカウントマネージャーが割り当てられます)
会議・プレゼンテーション
発表者について:
- The presenter will share their screen for the demonstration.(発表者はデモのために画面を共有します)
- Each speaker has 10 minutes for their presentation.(各話者は発表に10分あります)
特定個人について
明確な性別の場合:
- Mr. Davis will submit his report by tomorrow.(デイビス氏は明日までにレポートを提出します)
- Ms. Chen shared her expertise with the team.(チェン氏はチームと専門知識を共有しました)
代名詞選択の判断フローチャート
迷ったときの判断手順をご紹介します。
ステップ1:先行詞の特定
- 代名詞が何を指しているかを確認
- 直前の名詞・代名詞をチェック
ステップ2:性別の判定
- 明確な男性名(John, Mr. Smith) → he/his/him
- 明確な女性名(Sarah, Ms. Johnson) → she/her/her
- 性別不明の人(manager, student) → they/their/them
- 組織・物(company, system) → it/its
ステップ3:文脈での確認
- 前後の文で性別に関する情報があるか確認
- 一貫性を保つ
練習問題にチャレンジ
理解度を確認してみましょう。
問題1:The supervisor asked each team member to submit _____ weekly report.
(A) his
(B) her
(C) their
(D) its
考えてみてくださいね。
正解は(C)です!
「each team member」は性別が不特定の個人を指すので、性別中立的な「their」が適切です。 現代英語では単数の意味でも「their」を使用します。
問題2:Ms. Rodriguez will present _____ findings at tomorrow's meeting.
(A) his
(B) her
(C) their
(D) its
正解は(B)です!
「Ms. Rodriguez」は明確に女性を示すので「her」が正解です。 性別が明示されている場合は、対応する代名詞を使用します。
現代ビジネス英語でのベストプラクティス
包含的な言語使用
- 性別を仮定しない表現を心がける
- 多様性を尊重した代名詞選択
- 時代に適応した言語使用
文書作成での注意点
- 職業・役職での性別中立表現
- 一般的な人を指すときはthey
- 組織・システムはit
コミュニケーションでの配慮
- 相手の希望する代名詞を尊重
- 不明な場合は性別中立的表現
- 柔軟で包含的な姿勢
まとめ
代名詞の性別一致をマスターするポイントは、現代的で包含的なルールを理解することです。
重要なルール:
- 性別明示 → 対応する代名詞(he/she)
- 性別不明 → they/their/them(単数でも使用)
- 組織・物 → it/its
- 現代原則 → 性別中立的表現を優先
これらのルールを正確に理解すれば、Part5での代名詞問題で確実に得点でき、現代的なビジネス英語も身につきます。
ぜひ今日から包含的で時代に適応した代名詞使用を心がけて、より良いコミュニケーションを目指してくださいね!