Part5で「to have + 過去分詞」が出てくると、「これって何の用法?」と混乱してしまうこと、ありませんか?
不定詞の完了形は、普通の不定詞とは違って時間的な前後関係を表すため、日本人学習者にとって理解が難しい文法項目の一つです。
でも大丈夫です。不定詞の完了形は3つのパターンさえ覚えれば、文脈を見るだけで確実に正解できるようになります。
今回は、TOEIC Part5で頻出する不定詞の完了形の3つの用法と、瞬時に見分けるコツをお伝えします。
不定詞の完了形とは?
不定詞の完了形を簡単に説明すると、「過去のことを現在の視点から振り返る」表現です。
例えば、今朝遅刻した友人が「電車に乗れなかった」と説明する場面を想像してください。 友人の話は「今」していますが、内容は「朝の出来事」ですよね。
これと同じように、不定詞の完了形は主節の時点より前に起こったことを表現するんです。
基本構造:
to have + 過去分詞
用法1:時制の一致での完了形(最頻出!)
Part5で最も出題されるのが、時制の一致による完了形です。
時制の一致での特徴
主節が過去形の時、不定詞が表す動作がさらに過去のことなら完了形を使います。
スマホで撮った写真を友人に見せながら「昨日、富士山を見ることができた」と話す場面を思い浮べてください。
「話している今」より「昨日」が過去で、さらに「富士山を見た」のはその時点のことですよね。
見分けるポイント:
- 主節が過去形(was, seemed, appeared など)
- 不定詞の動作が主節より前の時点
Part5での頻出パターン
The manager seemed _____ the meeting yesterday.
(A) to attend
(B) to have attended
(C) attending
(D) attended
正解は(B)です。 seemedは過去形で、会議に出席したのはseemedの時点より前だからです。
「マネージャーは昨日の会議に出席していたようだった」という意味になります。
用法2:仮定法での完了形
仮定の意味を表す動詞の後で使われる完了形です。
仮定法での特徴
would like, would prefer, would have liked などの後で、「実際にはしなかった」ことを表現します。
レストランでメニューを見ながら「本当は魚料理を食べたかった(でも売り切れだった)」という場面がまさにこれです。
基本パターン:
- would like to have + 過去分詞
- would prefer to have + 過去分詞
- would have liked to + 動詞の原形
Part5での出題例
I would like _____ the presentation myself.
(A) to give
(B) to have given
(C) giving
(D) given
正解は(B)です。 「自分でプレゼンをしたかった(でもできなかった)」という後悔の気持ちを表しています。
用法3:後悔・推測表現での完了形
感情や推測を表す形容詞の後で使われる完了形です。
後悔・推測表現での特徴
glad, sorry, surprised などの感情形容詞や、certain, likely などの推測形容詞の後で使います。
友人が「試験に合格して嬉しい」と報告してきた時の気持ちを考えてください。
合格したのは過去の出来事ですが、それについて「今」嬉しいと感じていますよね。
よく使われる形容詞:
- 感情:glad, happy, sorry, surprised
- 推測:certain, likely, sure
Part5での出題例
She was glad _____ the promotion last month.
(A) to receive
(B) to have received
(C) receiving
(D) received
正解は(B)です。 昇進は過去の出来事で、それについて「今」嬉しいと感じているからです。
瞬間判断の3ステップ
では、実際の解き方を見ていきましょう。
ステップ1:主節の時制を確認
まず、主節の動詞が過去形かどうかをチェックします。
過去形なら時制の一致の可能性が高く、現在形なら感情・推測表現の可能性があります。
ステップ2:動詞・形容詞の種類を分析
次に、主節の動詞や形容詞が何を表しているかを見ます。
- 知覚・推測動詞(seem, appear など) → 時制の一致
- 仮定法動詞(would like など) → 仮定法
- 感情・推測形容詞(glad, certain など) → 後悔・推測
ステップ3:時間的前後関係で最終確認
最後に、不定詞の動作が主節より前かどうかを確認します。
よくある間違いパターン
日本人学習者が特に間違えやすいのは、以下の点です。
- 普通の不定詞との混同:時間的前後関係を無視してしまう
- 時制の一致の見落とし:主節が過去形でも完了形を使わない
- 仮定法での意味の誤解:「実際にはしなかった」というニュアンスを理解していない
特に時制の一致は、多くの人が見落としがちなポイントです。
実践トレーニング
理解度を確認するために、練習問題を解いてみましょう。
練習問題1(制限時間:20秒)
The CEO appeared _____ about the quarterly results.
(A) to worry
(B) to have worried
(C) worrying
(D) worried
考えてみてくださいね。
正解は(B)です!
appearedは過去形で、心配していたのはその時点より前だからです。 「CEOは四半期の結果について心配していたようだった」という意味になります。
練習問題2(制限時間:20秒)
I'm sorry _____ your email earlier.
(A) not to answer
(B) not to have answered
(C) not answering
(D) not answered
正解は(B)です!
sorryは感情を表す形容詞で、メールに返信しなかったのは過去の出来事です。 「先ほどメールに返信しなくて申し訳ありません」という意味になります。
間違えやすいポイント
不定詞の完了形で特に注意が必要なのは、以下の点です。
ポイント1:時間的前後関係の把握
不定詞の完了形は、必ず主節より前の時点を表します。
同時や未来のことなら、普通の不定詞(to + 動詞の原形)を使うんです。
ポイント2:仮定法での「実現しなかった」ニュアンス
would like to have + 過去分詞は、「〜したかった(けどできなかった)」という意味です。
実際に行った場合は、would like to + 動詞の原形になります。
ポイント3:感情表現での時制のずれ
I'm glad to have met you. のように、現在の感情が過去の出来事に基づく場合に使います。
本番での解答テクニック
Part5で確実に正解するためのコツをお伝えします。
-
主節の時制を最初にチェック
- 過去形なら完了形の可能性大
-
キーワードを覚える
- seem, appear → 時制の一致
- would like → 仮定法
- glad, sorry → 感情表現
-
15秒ルールを守る
- 迷ったら時制の一致パターンを選ぶ
頻出語句と組み合わせ
Part5でよく出る不定詞の完了形の組み合わせをまとめます。
時制の一致パターン
- seemed to have + 過去分詞
- appeared to have + 過去分詞
- was said to have + 過去分詞
仮定法パターン
- would like to have + 過去分詞
- would prefer to have + 過去分詞
- would have liked to + 動詞の原形
感情・推測パターン
- glad to have + 過去分詞
- sorry to have + 過去分詞
- certain to have + 過去分詞
まとめ
不定詞の完了形は、時間的前後関係を理解すれば必ず解けます。
今回紹介した3つの用法を意識すれば、
- Part5での不定詞完了形問題の正答率が95%以上になる
- 1問あたりの解答時間が15秒以内になる
- 時制問題全般への理解が深まる
という効果が期待できます。
最初は複雑に感じるかもしれませんが、パターンを覚えれば確実に得点源になります。 ぜひ今日から実践して、スコアアップを目指してくださいね!