知覚動詞で「原形か、ingか、過去分詞か」と迷ったことはありませんか?
「I saw him working と I saw him work って何が違うの?」「heardの後は何が来るの?」と混乱してしまう気持ち、とてもよく分かります。
実は、知覚動詞は動作の性質と完了度を理解すれば、Part5で確実に正解できるようになります。
今回は、3つの補語パターンと動作の判断基準を使って、12秒以内で正解する方法をマスターしていきましょう。
知覚動詞の基本を理解しよう
知覚動詞を簡単に説明すると、「見る・聞く」という感覚で捉えた情報を表現する動詞です。
例えば、「彼が歌っているのを聞いた」「扉が閉まるのを見た」のように、自分の感覚を通して他の人や物の動作を表現しますよね。 英語の知覚動詞も同じように、観察者の視点から他者の動作を描写するんです。
ポイントは、どのような動作をどの程度観察したかによって補語の形が変わることです。
Part5での出題傾向
知覚動詞は、Part5全30問中、平均2-3問出題されています。 つまり、**約9%**を占める中級〜上級者向けの問題タイプなんです。
出題される文脈も決まっていて、主に以下のような場面で登場します。
- オフィス・職場での観察:全体の50%
- 会議・プレゼンテーション:全体の30%
- 作業・プロセス説明:全体の20%
主要知覚動詞と3つの文型パターン
主要知覚動詞一覧
see (見る)
hear (聞く)
watch (見守る)
observe (観察する)
notice (気づく)
feel (感じる)
find (見つける・気づく)
文型1:知覚動詞 + 目的語 + 原形不定詞
動作の全体・完了を観察した場合に使用します。
I saw him enter the building.
(彼がビルに入るのを見ました)
→ 入る動作の全体を観察
使用条件:
- 動作の始まりから終わりまで観察
- 一回限りの動作
- 完了した動作
ニュアンス:
「〜するのを(最初から最後まで)見た/聞いた」
文型2:知覚動詞 + 目的語 + 現在分詞(-ing)
動作の進行中・継続を観察した場合に使用します。
I saw him working in his office.
(彼がオフィスで働いているのを見ました)
→ 働いている最中を観察
使用条件:
- 動作の途中を観察
- 継続的な動作
- 進行中の状態
ニュアンス:
「〜しているところを見た/聞いた」
文型3:知覚動詞 + 目的語 + 過去分詞
受動的な状態・結果を観察した場合に使用します。
I saw the document signed by the manager.
(その文書がマネージャーによって署名されるのを見ました)
→ 署名される受動的な状況を観察
使用条件:
- 受動的な動作・状態
- 動作を受ける側の観察
- 結果・完了状態
ニュアンス:
「〜されるのを見た/〜された状態を見た」
動作の性質による使い分け判断
判断基準1:動作の完了度
完全に観察 → 原形不定詞
I heard the door close.
(扉が閉まるのを聞きました)
→ 閉まる音の全体を聞いた
部分的に観察 → 現在分詞
I heard the door closing.
(扉が閉まっているのを聞きました)
→ 閉まっている途中の音を聞いた
判断基準2:動作の性質
能動的動作 → 原形不定詞 or 現在分詞
I saw him speak to the client. (全体を観察)
I saw him speaking to the client. (途中を観察)
受動的動作 → 過去分詞
I saw him questioned by the police.
(彼が警察に質問されるのを見ました)
判断基準3:継続性
一瞬の動作 → 原形不定詞
I saw the lightning strike the tree.
(稲妻が木を打つのを見ました)
継続的動作 → 現在分詞
I watched the rain falling.
(雨が降っているのを見ていました)
瞬間判断のための選択基準
ステップ1:動作の主体を確認
能動的主体(人・動物が自分で行う) → 原形不定詞 or 現在分詞
受動的主体(何かされる側) → 過去分詞
ステップ2:観察の範囲を判断
全体観察の手がかり:
- 一回限りの動作
- 短時間の動作
- 結果が重要な動作
部分観察の手がかり:
- 継続的な動作
- 長時間の動作
- プロセスが重要な動作
ステップ3:文脈から適切な形を選択
I saw him _____ the presentation.
(A) give (全体を観察)
(B) giving (途中を観察)
(C) given (受動的 - 不自然)
文脈に応じて(A)または(B)を選択
よくある間違いパターンと対策
間違い1:toの不要な追加
× I saw him to enter the room.
○ I saw him enter the room.
対策:
知覚動詞の後の原形不定詞にはtoを付けない
間違い2:進行形と現在分詞の混同
× I am seeing him working. (知覚動詞の進行形は不可)
○ I see him working.
○ I can see him working.
対策:
知覚動詞は通常進行形にしない
間違い3:受動態での補語選択ミス
× He was seen to entering the building.
○ He was seen to enter the building.
○ He was seen entering the building.
対策:
受動態では「to + 原形」または「現在分詞」
実践トレーニング
理解度を確認するために、練習問題を解いてみましょう。
練習問題1(制限時間:12秒)
I heard the manager _____ the new policy to the team.
(A) explain
(B) explaining
(C) explained
(D) to explain
どのパターンか分かりましたか?
正解は(A)explain - 「新方針を説明する」という動作の全体を聞いたという文脈なので原形不定詞です!
練習問題2(制限時間:12秒)
We watched the presentation _____ by the marketing team.
(A) deliver
(B) delivering
(C) delivered
(D) to deliver
正解は(C)delivered - 「プレゼンテーションが行われる」という受動的な状況なので過去分詞です。
練習問題3(制限時間:12秒)
I noticed several employees _____ overtime last night.
(A) work
(B) working
(C) worked
(D) to work
正解は(B)working - 「残業している途中」を観察したという継続的な動作なので現在分詞です。
知覚動詞別の使用傾向
see(見る)
最も汎用性が高い知覚動詞です。
原形:I see him leave every day. (毎日出て行くのを見る)
-ing:I see him leaving now. (今出て行くところを見る)
過去分詞:I see the problem solved. (問題が解決されるのを見る)
hear(聞く)
音・声・音楽などの聴覚情報に使用します。
原形:I heard the phone ring. (電話が鳴るのを聞いた)
-ing:I heard music playing. (音楽が流れているのを聞いた)
過去分詞:I heard my name called. (名前を呼ばれるのを聞いた)
watch(見守る)
継続的な観察に使われることが多いです。
原形:I watched him finish the report. (レポートを完成させるのを見た)
-ing:I watched him working on the report. (レポートに取り組んでいるのを見た)
notice(気づく)
突然の気づきを表現します。
原形:I noticed her smile. (彼女が微笑むのに気づいた)
-ing:I noticed her smiling. (彼女が微笑んでいるのに気づいた)
過去分詞:I noticed the error corrected. (エラーが修正されているのに気づいた)
本番での時間短縮テクニック
1. 主体性判断法
目的語が能動的か受動的かを瞬時に判断
- 人・動物が主体 → 原形/現在分詞
- 物が主体で受動的 → 過去分詞
2. 継続性チェック法
動作の性質を確認
- 一瞬・短時間 → 原形不定詞
- 継続・進行中 → 現在分詞
3. 文脈キーワード法
特定の表現で判断
- suddenly, immediately → 原形不定詞
- still, continuously → 現在分詞
- by someone → 過去分詞
4. 選択肢除外法
- to + 原形 → 即座に除外
- 知覚動詞の進行形 → 即座に除外
ビジネス文脈での頻出パターン
会議・プレゼンテーション
I saw him present the quarterly results. (発表全体を観察)
I saw him presenting the data. (発表中を観察)
I saw the results presented clearly. (結果が発表される様子)
オフィス業務
I heard her answer the phone. (電話に出るのを聞いた)
I heard her answering questions. (質問に答えているのを聞いた)
I heard the question answered. (質問が答えられるのを聞いた)
作業・プロセス
We watched the system start up. (システムの起動全体)
We watched the system starting. (システムが起動中)
We watched the system being tested. (システムがテストされる様子)
まとめ
知覚動詞のポイントは、動作の性質と観察の範囲を正確に判断することです。
この記事で紹介した3つの文型パターンと判断基準を覚えれば、Part5での知覚動詞問題の正答率が確実に上がります。
3つの文型パターン:
- 原形不定詞 - 動作の全体・完了を観察
- 現在分詞(-ing) - 動作の進行・継続を観察
- 過去分詞 - 受動的状態・結果を観察
瞬間判断の流れ: 主体性確認(能動/受動)→ 継続性判断(全体/部分)→ 適切な補語形選択の順番で判断すれば、12秒以内で確実に正解できるようになります。
覚えるべき重要ポイント:
- 知覚動詞の後にtoは不要
- 人が主体なら原形/現在分詞
- 受動的なら過去分詞
- 全体観察なら原形、部分観察なら現在分詞
ぜひ今日から実践して、スコアアップを目指してくださいね!