Part5の助動詞問題で「mustとhave toの違いがよくわからない」と悩んでいませんか?
「規則だからmust?それともhave to?」「needの使い方は?」と迷ってしまうこと、ありますよね。
実は、必然性を表現する助動詞には明確な使い分けルールがあり、そのニュアンスを理解すれば確実に正解できるようになります。
今回は、Part5で年間約8問出題される必然性表現の攻略法を、分かりやすくお伝えします。
必然性表現の基本を理解しよう
必然性表現を簡単に説明すると、命令の強さの違いのようなものです。
上司からの指示を想像してみてください。 「絶対にやらなければならない」「やる必要がある」「やった方が良い」 このように、必要性の度合いや源泉によって表現が変わるんです。
英語の必然性表現も、義務の強さと根拠によって使い分けられています。
必然性表現の3つの主要パターン
必然性表現には、以下の3つの主要パターンがあります。
パターン1:must(内的義務・強い必然性)
話し手の強い意志や判断に基づく義務を表します。
特徴:
- 主観的な義務:話し手が「必要だ」と判断
- 強い必然性:避けることができない
- 個人的な信念:話し手の価値観に基づく
- フォーマルな文書:規則・方針の記述
使用場面:
- 個人的な判断による必要性
- 規則・方針の明文化
- 論理的な結論
- 道徳的・倫理的義務
例文:
- Employees must comply with company policies.(従業員は会社の方針に従わなければならない)
- We must improve our customer service.(我々は顧客サービスを改善しなければならない)
- All reports must be submitted by Friday.(すべての報告書は金曜日までに提出されなければならない)
パターン2:have to(外的義務・客観的必然性)
外部の状況や規則により生じる義務を表します。
特徴:
- 客観的な義務:外部要因による必要性
- 状況による必然性:環境に適応する必要
- 第三者による要求:他者が設定した条件
- 実用的な表現:日常的なビジネス英語
使用場面:
- 法律・規則による義務
- 状況による必要性
- 第三者の要求
- 実践的な必要性
例文:
- We have to finish the project by the deadline.(期限までにプロジェクトを完了しなければならない)
- Visitors have to register at the front desk.(訪問者は受付で登録しなければならない)
- I have to attend the meeting tomorrow.(明日の会議に出席しなければならない)
パターン3:need(必要性・要求)
必要性そのものを表す表現です。
特徴:
- 純粋な必要性:何かが必要である状態
- 要求の表現:何かを求める
- 欠如の補完:足りないものを得る必要
- 実用的な表現:実際の必要性
使用場面:
- 物や情報の必要性
- 能力や技能の要求
- 改善の必要性
- 資源の不足
例文:
- The system needs to be updated.(システムは更新される必要がある)
- We need more information before making a decision.(決定する前にもっと情報が必要だ)
- This project needs additional funding.(このプロジェクトは追加資金が必要だ)
使い分けのポイント
主観性 vs 客観性
must(主観的):
- 話し手の判断・意志
- 「私は~すべきだと思う」
- 規則の制定・発表
have to(客観的):
- 外部状況・第三者の要求
- 「状況が~を要求している」
- 既存規則への従属
強制力の程度
強制力の強さ順:
1.
must:最も強い(避けられない義務)
2.
have to:中程度(状況による必要性)
3.
need:基本的(必要性の認識)
フォーマル度
ビジネス文書での使用頻度:
- must:契約書・規定・方針 ✅
- have to:メール・報告書・議事録 ✅
- need:提案書・要求書・分析 ✅
Part5での出題パターン
必然性表現は、Part5で年間約8問出題されます。
主な出題パターンは以下の4つです。
パターン1:助動詞の選択
適切な必然性表現を選択する問題です。
例題:
All employees _____ attend the mandatory safety training.
(A) must
(B) have to
(C) need
(D) should
正解は(A)です。 「mandatory(義務的な)」という形容詞があり、会社の規則なので「must」が適切です。
パターン2:文脈による判断
文脈に最も適した表現を選択する問題です。
例題:
Due to the new regulations, companies _____ implement these changes by next month.
(A) must
(B) need
(C) have to
(D) ought to
正解は(C)です。 「new regulations(新しい規則)」という外部要因により生じる義務なので「have to」が適切です。
パターン3:否定形の使い分け
否定形での適切な表現を選択する問題です。
例題:
Employees _____ work overtime without prior approval.
(A) must not
(B) don't have to
(C) need not
(D) shouldn't
正解は(A)です。 「prior approval(事前承認)なしに」という条件での禁止なので「must not」が適切です。
パターン4:時制との組み合わせ
時制と組み合わせた必然性表現を選択する問題です。
間違えやすいポイント
日本人学習者が特に間違えやすいのは、以下の点です。
- 主観・客観の区別:mustとhave toの根本的な違いを理解していない
- 否定形の混同:must notとdon't have toの意味の違い
- 文脈の読み取り:必然性の源泉を判断できない
特に否定形の意味の違いは、多くの人が混乱しがちです。
確実に正解するための3ステップ
では、実際の解き方を見ていきましょう。
ステップ1:必然性の源泉を特定する
まず、何が義務や必要性を生み出しているかを特定します。
話し手の判断、外部規則、客観的状況のいずれかを確認しましょう。
ステップ2:必然性の強さを判断する
次に、どの程度の強制力があるかを判断します。
絶対的義務、状況的必要性、基本的必要性のレベルを確認します。
ステップ3:文脈との適合性を確認する
最後に、文全体の意味と論理を確認します。
時制、否定、条件などの要素も考慮しましょう。
否定形の重要な違い
must not(してはいけない・禁止)
禁止を表す表現です。
例文:
- Employees must not disclose confidential information.(従業員は機密情報を漏らしてはいけない)
- You must not smoke in the building.(建物内で喫煙してはいけない)
don't have to(する必要がない・義務なし)
義務の不存在を表す表現です。
例文:
- Employees don't have to work on weekends.(従業員は週末に働く必要がない)
- You don't have to attend the optional meeting.(任意の会議に出席する必要はない)
need not / needn't(する必要がない)
必要性の不存在を表す表現です。
例文:
- You need not worry about the deadline.(締切について心配する必要はない)
- The report needn't be submitted until next week.(報告書は来週まで提出する必要がない)
ビジネス場面での使用例
TOEICはビジネス英語がベースなので、実際のビジネス場面での使用例も確認しましょう。
会社の方針・規則
must の使用:
- All staff must follow the dress code.(全スタッフはドレスコードに従わなければならない)
- Managers must approve overtime requests.(マネージャーは残業申請を承認しなければならない)
外部要因による義務
have to の使用:
- We have to comply with new environmental regulations.(新しい環境規制に従わなければならない)
- The project has to be completed before the audit.(監査前にプロジェクトを完了しなければならない)
実際的な必要性
need の使用:
- The website needs to be more user-friendly.(ウェブサイトはもっとユーザーフレンドリーである必要がある)
- We need to hire additional staff.(追加スタッフを雇用する必要がある)
練習問題にチャレンジ
理解度を確認するために、練習問題を解いてみましょう。
問題1:According to company policy, all employees _____ submit their timesheets by Monday.
(A) must
(B) have to
(C) need
(D) should
考えてみてくださいね。
正解は(A)です!
「company policy(会社の方針)」により定められた規則なので、「must」が適切です。
問題2:Due to the system maintenance, users _____ save their work frequently.
(A) must
(B) have to
(C) need to
(D) ought to
正解は(C)です!
「system maintenance(システムメンテナンス)」という状況により生じる実際的な必要性なので「need to」が適切です。
類似表現との比較
should / ought to(べきである・推奨)
アドバイス・推奨を表す表現です。
must vs should:
- must:義務(しなければならない)
- should:推奨(すべきである)
be required to(要求される)
正式な要求を表す表現です。
have to vs be required to:
- have to:一般的な義務
- be required to:正式な要求・法的義務
be supposed to(することになっている)
期待・予定を表す表現です。
must vs be supposed to:
- must:絶対的義務
- be supposed to:期待・予定
時制での使い分け
現在・未来
- must:現在の判断、未来の義務
- have to:現在の状況、未来の必要性
- need:現在の必要性、未来の要求
過去
- had to:過去の義務・必要性
- needed to:過去の必要性
- must have + 過去分詞:過去の推測
まとめ
必然性表現のポイントは、義務の源泉(主観・客観)、必然性の強さ、文脈の適切性を理解することです。
この記事で紹介した3つのステップを意識すれば、Part5での正答率が確実に上がります。
特に「必然性の源泉特定」と「否定形の意味区別」を意識するだけで、助動詞問題での間違いが大幅に減ります。
ぜひ今日から実践して、スコアアップを目指してくださいね!