Part5で過去の習慣を表す問題が出ると、「used to」「would」「過去形」のどれが正解か迷ってしまうこと、ありませんか?
これらの表現はすべて過去のことを表しますが、実は表現したい内容によって使い分けがあるんです。 この違いを理解していないと、文法的には間違いではなくても、文脈に最も適した選択肢を選べなくなってしまいます。
今回は、TOEIC Part5で確実に正解するための習慣表現の3パターンと、それぞれの決定的な違いをお伝えします。
習慣表現の3つのパターン
過去の習慣や状態を表す表現には、主に3つのパターンがあります。
基本的な3パターン
1. used to + 動詞の原形(過去の習慣・状態)
2. would + 動詞の原形(過去の習慣的行動)
3. 過去形(一般的な過去の事実)
昔の生活について友人に話す場面を想像してください。 「学生時代はよく図書館に行った」と言う時、どの表現を使うかで微妙にニュアンスが変わりますよね。
英語でも同様に、過去の出来事をどのような視点で表現したいかによって、使う表現が変わるんです。
パターン1:used to(過去の習慣・状態)
最も包括的なused toから詳しく見ていきましょう。
used toの特徴
used toは「以前は〜だった」「昔は〜したものだ」という意味で、現在は違うということを強調します。
コンビニで昔よく買っていたお菓子を見つけて「昔はよくこれを食べたものだ(今は食べない)」と懐かしく思う場面を考えてください。
過去と現在の対比・変化を表現するのがused toです。
特徴:
- 過去の習慣・状態の両方を表現可能
- 現在との対比を強調
- 動作動詞・状態動詞の両方で使用可能
used toの使用例
過去の習慣:
I used to go to the gym every day when I was a student.
(学生の頃は毎日ジムに行ったものだった)
→ 現在は行っていない
過去の状態:
This area used to be very quiet before the new shopping mall opened.
(新しいショッピングモールができる前、この地域はとても静かだった)
→ 現在は静かではない
ビジネス例:
Our company used to focus mainly on domestic markets.
(我々の会社は以前は主に国内市場に焦点を当てていた)
→ 現在は海外市場にも注力
Part5でのused toパターン
The company _____ operate only in Asia, but now it has expanded globally.
(A) used to
(B) would
(C) was
(D) had
正解は(A)です。 「but now」という現在との対比があるため、used toが最適です。
パターン2:would(過去の習慣的行動)
次に、特定の文脈で使われるwouldです。
wouldの特徴
wouldは「〜したものだった」という意味で、具体的な行動の反復を表します。
おじいちゃんが昔話をする時に「私は毎朝6時に起きて、散歩をして、新聞を読んだものだった」と話す場面を考えてください。
具体的な行動の連続や反復を表現するのがwouldです。
特徴:
- 動作動詞のみ使用可能(状態動詞は不可)
- 具体的な行動の反復を強調
- 物語的・回想的なニュアンス
wouldの使用例
過去の習慣的行動:
Every morning, he would arrive at the office at 8 AM sharp.
(毎朝、彼はきっかり8時にオフィスに到着したものだった)
連続する行動:
On Sundays, we would wake up late, have brunch, and spend the afternoon in the park.
(日曜日には、遅く起きて、ブランチを食べ、午後は公園で過ごしたものだった)
ビジネス例:
The former CEO would hold weekly meetings with all department heads.
(前のCEOは全部署長と週例会議を開いたものだった)
Part5でのwouldパターン
During busy seasons, employees _____ work overtime almost every day.
(A) used to
(B) would
(C) were
(D) had
正解は(B)です。 繁忙期の具体的な行動パターンを表現しているため、wouldが適切です。
パターン3:過去形(一般的な過去の事実)
最後に、シンプルな過去形です。
過去形の特徴
過去形は「〜した」という意味で、単純な過去の事実を表します。
レストランで友人に「昨日は新しいカフェに行った」と報告する場面を考えてください。
特別な強調や対比はなく、単純に事実を述べるのが過去形です。
特徴:
- 単純な過去の事実を表現
- 習慣性の強調なし
- 最も基本的で汎用性が高い
過去形の使用例
単純な過去の事実:
I worked at that company for five years.
(私はその会社で5年間働いた)
過去の習慣(頻度副詞と共に):
He often stayed late at the office during project deadlines.
(プロジェクトの締切中、彼はしばしばオフィスに遅くまで残った)
ビジネス例:
The team completed the project ahead of schedule.
(チームは予定より早くプロジェクトを完了した)
Part5での過去形パターン
Last year, the sales department _____ its revenue target by 15%.
(A) used to exceed
(B) would exceed
(C) exceeded
(D) had exceeded
正解は(C)です。 「昨年」という特定の時期の事実を述べているため、過去形が適切です。
3つの表現の決定的違い
同じ内容でも、表現によってニュアンスが変わります。
同じ内容での比較
used to:過去と現在の対比
I used to drink coffee every morning.
(以前は毎朝コーヒーを飲んでいた → 今は飲まない)
would:習慣的行動の描写
I would drink coffee every morning when I worked in that office.
(あのオフィスで働いていた時は、毎朝コーヒーを飲んだものだった)
過去形:単純な事実
I drank coffee every morning last year.
(昨年は毎朝コーヒーを飲んだ)
使い分けの基準
used toを選ぶ場面:
- 現在との対比を強調したい
- 過去の状態を表したい
- 変化を表現したい
wouldを選ぶ場面:
- 具体的な行動パターンを描写したい
- 物語的に表現したい
- 動作動詞を使っている
過去形を選ぶ場面:
- 単純な事実を述べたい
- 特定の時期を表す語句がある
- 特別な強調が不要
実践トレーニング
理解度を確認するために、練習問題を解いてみましょう。
練習問題1(制限時間:15秒)
The old factory _____ employ over 500 workers before it closed down.
(A) used to
(B) would
(C) was
(D) had
工場の雇用についての過去の状況を述べている文ですね。
正解は(A)です!
「closed down」(閉鎖した)という現在との対比があり、従業員数という状態を表しているため、used toが適切です。 「工場は閉鎖前は500人以上を雇用していた」という意味になります。
練習問題2(制限時間:15秒)
Every Friday afternoon, the team _____ gather in the conference room for weekly reviews.
(A) used to
(B) would
(C) was
(D) had
チームの定期的な行動パターンについて述べている文ですね。
正解は(B)です!
「Every Friday afternoon」という具体的な頻度で、「gather」という動作動詞を使った習慣的行動なので、wouldが適切です。 「毎週金曜午後、チームは週次レビューのため会議室に集まったものだった」という意味になります。
状態動詞での制限
重要なポイントとして、状態動詞の扱いがあります。
wouldでは使えない状態動詞
❌ He would be very tall when he was young.
✅ He used to be very tall when he was young.
❌ The office would have modern equipment.
✅ The office used to have modern equipment.
状態動詞(be, have, know, like, want など)は、動作ではなく状態を表すため、wouldでは使えません。
主な状態動詞
be(である)、have(持っている)、know(知っている)
like(好きである)、want(欲しい)、need(必要である)
seem(見える)、appear(現れる)、belong(属する)
レストランで「昔はピザが好きだった」と言う場合、「like」は状態動詞なので「used to like」となります。
ビジネス英語での習慣表現
TOEICはビジネス英語なので、実際のビジネス場面での使い分けが重要です。
会社の変遷を表現
used to:変化の強調
Our company used to be a small startup, but now it's a global corporation.
(我々の会社は以前は小さなスタートアップでしたが、今はグローバル企業です)
would:業務パターンの描写
In the early days, the founder would personally visit every client.
(創業当初、創設者は全てのクライアントを個人的に訪問したものでした)
過去形:単純な事実
The company expanded rapidly in the 1990s.
(同社は1990年代に急速に拡大しました)
働き方の変化
used to:働き方の変化
Employees used to work from the office every day.
(従業員は以前は毎日オフィスで働いていました → 今はリモートワークもある)
would:日常的な業務パターン
During peak season, sales staff would make over 50 calls per day.
(繁忙期には、営業スタッフは1日50件以上電話をかけたものでした)
過去形:特定期間の事実
Last quarter, we implemented a new customer service system.
(前四半期、新しい顧客サービスシステムを導入しました)
よくある間違いパターン
日本人学習者が特に間違えやすいパターンを見てみましょう。
間違いパターン1:状態動詞でwouldを使用
❌ The office would be very busy during tax season.
✅ The office used to be very busy during tax season.
間違いパターン2:現在との対比なしにused toを使用
❌ Yesterday, I used to go shopping.(昨日の一回限りの行動)
✅ Yesterday, I went shopping.
間違いパターン3:文脈を無視した選択
Context: The company has completely changed its business model.
❌ The company would focus on manufacturing.
✅ The company used to focus on manufacturing.
本番での解答テクニック
Part5で確実に正解するためのコツをお伝えします。
-
現在との対比をチェック
- 対比がある → used to
- 対比がない → would/過去形
-
動詞の種類を確認
- 状態動詞 → used to/過去形
- 動作動詞 → すべて使用可能
-
文脈のトーンを読む
- 物語的・回想的 → would
- 変化の強調 → used to
- 単純な事実 → 過去形
-
15秒ルールを守る
- 習慣表現は文脈理解が重要
-
キーワードを見つける
- but now, these days → used to
- every day, always → would
- 特定の時期 → 過去形
まとめ
習慣表現の使い分けは、表現したい内容と文脈によって決まります。
今回紹介した3パターンの違いを意識すれば、
- Part5での習慣表現問題の正答率が90%以上になる
- 過去表現への理解が深まる
- ビジネス英語での表現力が向上する
という効果が期待できます。
used to(現在との対比)、would(習慣的行動の描写)、過去形(単純な事実)の特徴を理解して、確実にスコアアップを目指しましょう!