「by the manager」を入れるべきか省略すべきか迷ったことはありませんか?
Part5で「The report was completed _ yesterday」のような問題を見ると、by句が必要なのか不要なのか判断に困りませんか?
実は、受動態のby句には焦点の調整と責任の明確化という重要な機能があり、適切な使い分けによって文の効果を大きく変えることができるんです。
今回は、動作主と受動者の関係を理解して、by句で焦点を変える技術をマスターしていきましょう。
動作主と受動者の基本概念
動作主・受動者を簡単に理解するには、「誰が何をするか」の視点で考えると分かりやすいです。
例えば、報告書の作成を想像してください。
能動文:「マネージャーが報告書を作成した」(マネージャー=動作主)
受動文:「報告書がマネージャーによって作成された」(報告書=受動者)
この視点の変化により、文の焦点と印象が大きく変わるんです。
Part5でのby句問題の出題パターン
by句に関する問題は、Part5で年間約3-5問出題される重要項目です。
主な出題パターンは以下の通りです。
パターン1:by句の必要性判断
by句が必要か不要かを文脈から判断する問題です。
例題:
The presentation was delivered _____ the sales manager to the board of directors.
(A) by
(B) from
(C) with
(D) through
正解は(A)です。 動作主(sales manager)を明示する必要があるので、byが適切です。
パターン2:前置詞の選択
byと他の前置詞の使い分けを判断する問題です。
例題:
The new policy was implemented _____ the HR department last month.
(A) by
(B) in
(C) at
(D) on
正解は(A)です。 実施主体を示すので、byが適切です。
パターン3:焦点の適切性
文脈に応じた焦点の選択を判断する問題です。
例題:
All employees must be informed _____ the policy changes immediately.
(A) by
(B) of
(C) about
(D) with
正解は(B)です。 「通知される内容」を表すので、ofが適切です。
by句使用の4つの判断基準
by句を使うかどうかの判断基準をお伝えします。
基準1:動作主の重要性
動作主が重要な情報かどうかで判断します。
動作主が重要 → by句を使用
The proposal was approved by the board of directors.
(提案は取締役会によって承認された)
→ 誰が承認したかが重要
動作主が不重要 → by句を省略
The documents were delivered yesterday.
(書類は昨日配達された)
→ 誰が配達したかは重要でない
基準2:責任の明確化
責任の所在を明確にする必要があるかで判断します。
責任を明確化 → by句を使用
The budget was revised by the finance team.
(予算は財務チームによって修正された)
責任を曖昧化 → by句を省略
Several mistakes were found in the report.
(報告書でいくつかの間違いが見つかった)
基準3:専門性・権威性
特別な専門性や権威を示す必要があるかで判断します。
専門性を強調 → by句を使用
The system was designed by leading software engineers.
(システムは一流のソフトウェアエンジニアによって設計された)
一般的な作業 → by句を省略
The data was processed automatically.
(データは自動的に処理された)
基準4:文体効果
どのような文体効果を狙うかで判断します。
具体性・信頼性 → by句を使用 簡潔性・客観性 → by句を省略
焦点を変える技術
by句の使用により文の焦点をどう変えるかを理解しましょう。
受動者への焦点(by句省略)
結果や影響を重視する場合に使用します。
✓ The new system has been implemented.
(新システムが導入されました)
→ 焦点:システムの導入という事実
✓ Significant improvements have been achieved.
(大幅な改善が達成されました)
→ 焦点:改善という結果
動作主への焦点(by句使用)
行為者の重要性を強調する場合に使用します。
✓ The new system has been implemented by the IT department.
(新システムはIT部門によって導入されました)
→ 焦点:IT部門の貢献
✓ Significant improvements have been achieved by our team.
(大幅な改善が我々のチームによって達成されました)
→ 焦点:チームの成果
バランス型(部分的明示)
選択的に動作主を明示する方法です。
✓ The project was completed on schedule by a dedicated team.
(プロジェクトは専任チームによって予定通り完成されました)
→ 予定通り完成(結果)と専任チーム(手段)の両方を強調
ビジネス文書での実践的使い分け
実際のビジネスシーンでの効果的な使い分けを見てみましょう。
成功・成果の報告
チームの貢献を強調
Outstanding results were achieved by the marketing team.
(マーケティングチームによって優秀な成果が達成されました)
The project was completed ahead of schedule by our development team.
(プロジェクトは開発チームによって予定より早く完成されました)
結果そのものを強調
Outstanding results were achieved in the third quarter.
(第3四半期に優秀な成果が達成されました)
The project was completed ahead of schedule.
(プロジェクトは予定より早く完成されました)
問題・課題の報告
責任の明確化が必要
The error was caused by a system malfunction.
(エラーはシステムの誤動作によって引き起こされました)
The delay was caused by unexpected regulatory changes.
(遅延は予期しない規制変更によって引き起こされました)
責任を曖昧にする
An error was detected in the system.
(システムでエラーが検出されました)
The project has been delayed.
(プロジェクトが遅延しています)
決定・承認の報告
権威の明示
The proposal was approved by the board of directors.
(提案は取締役会によって承認されました)
The budget was finalized by senior management.
(予算は上級管理職によって確定されました)
決定事実の強調
The proposal has been approved.
(提案が承認されました)
The budget has been finalized.
(予算が確定されました)
手続き・プロセスの説明
専門性の明示
The analysis was conducted by certified experts.
(分析は認定専門家によって実施されました)
The audit was performed by an independent firm.
(監査は独立した会社によって実施されました)
手続きの客観性
A thorough analysis was conducted.
(徹底的な分析が実施されました)
An independent audit was performed.
(独立監査が実施されました)
実践問題で判断力をチェック
by句使用の判断力を確認してみましょう。
問題1:The annual report was prepared _____ the accounting department.
(A) by
(B) from
(C) with
(D) in
判断のポイント:動作主の明示
正解は(A)です!
年次報告書の作成主体(accounting department)を明示するので、 byが適切です。
問題2:All safety procedures must be followed _____ company policy.
(A) by
(B) under
(C) according to
(D) through
判断のポイント:準拠・従属関係
正解は(C)です!
「会社の方針に従って」という意味なので、 「according to」が適切です。
よくある間違いパターンと対策
日本人学習者が特に注意すべきポイントを整理しました。
間違い1:不要なby句の追加
動作主が重要でない場合にby句を使ってしまう。
間違い例
- ❌ The email was sent by someone yesterday.
- ✅ The email was sent yesterday.
間違い2:必要なby句の省略
責任や権威を示すべき場面でby句を省略してしまう。
間違い例
- ❌ The contract was signed yesterday.
- ✅ The contract was signed by the CEO yesterday.
間違い3:前置詞の選択ミス
byと他の前置詞を混同してしまう。
間違い例
- ❌ The report was written with the research team.
- ✅ The report was written by the research team.
高度なby句使用法
より複雑なby句使用法の理解を深めてみましょう。
複数の動作主
The project was completed by both the design team and the engineering team.
(プロジェクトはデザインチームとエンジニアリングチームの両方によって完成されました)
抽象的な動作主
The decision was influenced by market conditions.
(決定は市場状況によって影響されました)
Success was achieved through careful planning.
(成功は注意深い計画によって達成されました)
手段・方法の表現
The problem was solved by using advanced technology.
(問題は先進技術を使用することで解決されました)
Communication was improved by implementing new software.
(新しいソフトウェアの導入により、コミュニケーションが改善されました)
時間的要素との組み合わせ
The report will be reviewed by the committee next week.
(報告書は来週委員会によって検討される予定です)
The system has been maintained by the IT team since 2020.
(システムは2020年からIT チームによって保守されています)
まとめ
by句使用の判断ポイントは、動作主の重要性と文の焦点を戦略的に決めることです。
この記事で紹介した技術を使えば、Part5での正答率が確実に向上します。
特に重要なのは:
- 動作主が重要 → by句使用
- 結果に焦点 → by句省略
- 責任の明確化 → by句使用
- 簡潔性重視 → by句省略
ぜひ今日から実践して、受動態の焦点調整技術をマスターしてくださいね!