Part5で代名詞の問題が出てきたとき、「この代名詞は何を指しているの?」と迷ったことはありませんか?
「代名詞の基本は分かるけれど、複雑な文になると何を指すか分からなくなる」という悩みを持つ学習者は多いです。
実は、代名詞の先行詞の特定には明確な5つのルールがあり、これを理解すれば確実に正解を選べるようになります。
今回は、TOEICで年間約5-6問出題される代名詞問題から、先行詞との指示関係を明確にする実践的なルールを詳しく解説します。
代名詞と先行詞の基本関係
代名詞と先行詞を簡単に説明すると、代名詞が指し示す具体的な名詞が先行詞のことです。
これは英語で「Pronoun-Antecedent Relationship」と呼ばれ、文の意味を正確に理解するための重要な要素です。
John bought a car. He loves it very much.
(ジョンは車を買った。彼はそれをとても気に入っている)
この例では:
- He → John(先行詞)
- it → car(先行詞)
料理のレシピで例えると: 材料A(代名詞)が何の材料(先行詞)を指すか分からないと、料理の手順が混乱してしまうイメージです。
TOEICでの出題パターン
代名詞の先行詞問題は、Part5で年間約5-6問出題されます。
主な出題パターンは以下の4つです。
パターン1:適切な代名詞の選択
文脈から先行詞を特定し、適切な代名詞を選ぶ問題です。
例題:
The company released its annual report. _____ shows significant growth.
(A) It (B) They (C) Its (D) Their
「annual report」が先行詞なので、単数の「It」が適切です。
正解は(A)です。 レポートが成長を示すという意味になります。
パターン2:所有格代名詞の選択
所有関係を表す代名詞を、先行詞の性質に合わせて選ぶ問題です。
例題:
Each employee must submit _____ time sheet by Friday.
(A) his (B) their (C) its (D) his or her
「Each employee」は単数なので、「his or her」が文法的に正確です。
正解は(D)です。 各従業員が自分のタイムシートを提出するという意味です。
パターン3:複数の候補からの特定
複数の名詞がある中で、代名詞の適切な先行詞を特定する問題です。
パターン4:指示代名詞の使い分け
this/that/these/thoseなどの指示代名詞の適切な使い方を問う問題です。
明確な指示関係を作る5つのルール
では、実際の判定方法を見ていきましょう。
ルール1:最近接の原則
代名詞は、最も近い位置にある適切な名詞を先行詞とする傾向があります。
例:
The manager told the employees that he would announce the decision soon.
「he」の先行詞は「the manager」(単数・男性)です。「employees」は複数なので対象外です。
適用手順:
- 代名詞から前方に向かって名詞を探す
- 性・数が一致する最初の名詞を確認
- 意味的に自然か判断
ルール2:性・数の一致確認
代名詞と先行詞は、性(男性・女性・中性)と数(単数・複数)が一致する必要があります。
例:
The committee made its decision after they reviewed all proposals.
- 「its」→「committee」(単数・中性)
- 「they」→「committee members」(複数・人)
チェックポイント:
- 単数名詞 → it/he/she
- 複数名詞 → they
- 会社・組織 → it(単体として)/they(構成員として)
ルール3:意味的適合性の確認
文法的に一致していても、意味的に自然な関係である必要があります。
例:
❌ The report was delayed because it was sick.
✅ The report was delayed because he was sick.
「report」は病気になれないので、「it was sick」は不自然です。
判断基準:
- 動作の主体として自然か?
- 状態の対象として適切か?
- ビジネス文脈で現実的か?
ルール4:文構造による制限
複雑な文では、文の構造が先行詞の範囲を制限します。
例:
The manager who hired Sarah said she would start next Monday.
「she」は「Sarah」を指します。「manager」は関係代名詞節の中にあるため、主節の代名詞の先行詞になりにくいです。
構造別の優先順位:
- 同一節内の名詞(最優先)
- 主節の名詞
- 従属節の名詞(条件付き)
ルール5:文脈の一貫性
複数の文にまたがる場合、文脈全体で一貫した指示関係を保つ必要があります。
例:
Our company launched a new product last month. It has received excellent reviews from customers. Its innovative design attracts many buyers.
- 「It」→「new product」
- 「Its」→「new product」
一貫性のチェック:
- 同じ先行詞への継続的な言及
- 話題の自然な流れ
- 読み手にとっての明確性
よくある間違いパターンと対策
TOEIC受験者が特に間違えやすいパターンと対策をご紹介します。
間違い1:集合名詞の単複混同
間違い例:
❌ The team completed their project, and it was proud of its achievement.
「team」を単数として扱うか複数として扱うか混在しています。
対策:
✅ The team completed its project, and it was proud of its achievement.
(単数として一貫)
✅ The team members completed their project, and they were proud of their achievement.
(複数として一貫)
間違い2:曖昧な先行詞
間違い例:
❌ John told Mike that he should attend the meeting.
「he」が「John」か「Mike」か不明確です。
対策:
✅ John told Mike that Mike should attend the meeting.
✅ John told Mike to attend the meeting.
間違い3:距離による混乱
間違い例:
❌ The report about the sales figures that were analyzed by the team shows its accuracy.
「its」の先行詞が不明確です。
対策:
✅ The report about the sales figures shows the accuracy of the analysis.
実践的な解法テクニック
TOEIC本番で効率的に解くためのテクニックをご紹介します。
テクニック1:先行詞候補のマーキング
- 代名詞を見つける
- 前の文から名詞をすべてマーキング
- 性・数が一致するものを絞り込み
テクニック2:置き換え確認法
代名詞を先行詞候補で置き換えて、意味が通るかを確認します。
例:
The company announced that it would expand operations.
→ The company announced that the company would expand operations.
意味が通る → ✅
テクニック3:文脈の流れ確認
文全体の話題の流れを追って、自然な指示関係を判断します。
例:
Our new software system was installed last week. It has improved efficiency significantly.
話題は「software system」→「It」は「software system」を指すのが自然
ビジネス英語での重要パターン
TOEICでよく出るビジネス関連の代名詞使用例をまとめました。
会社・組織への言及
- The company announced its quarterly results.
- Management stated that they would review the policy.
- Our department completed its annual review.
製品・サービスへの言及
- The new product exceeded its sales targets.
- This service has improved its customer satisfaction ratings.
- The software update enhanced its performance.
人事・採用関連
- Each candidate must submit his or her resume.
- The interviewer said she would contact the applicant.
- All employees should update their contact information.
練習問題にチャレンジ
理解度を確認するために、練習問題を解いてみましょう。
問題1:The marketing team presented its proposal to the board. _____ was impressed by the innovative approach.
(A) It (B) They (C) Its (D) Their
5つのルールを使って考えてみてくださいね。
正解は(B)です!
「board」(取締役会)が提案に感銘を受けたという文脈で、「They」が最も自然です。取締役会は複数の人で構成されているためです。
問題2:Every employee must complete _____ training before starting work.
(A) his (B) their (C) its (D) his or her
正解は(D)です!
「Every employee」は単数扱いなので、「his or her」が文法的に正確です。現代英語では性別を特定しない表現が推奨されます。
問題3:The report and its appendix were submitted yesterday. _____ contained detailed financial data.
(A) It (B) They (C) Its (D) Their
正解は(B)です!
「The report and its appendix」は複数の項目なので、「They」が適切です。
代名詞使用時の注意点
明確な指示関係を保つための実践的な注意点をまとめました。
1. 一文内での一貫性
同じ先行詞への言及は、一貫した代名詞を使用します。
✅ The company announced its results, and it exceeded expectations.
❌ The company announced its results, and they exceeded expectations.
2. 文書全体での統一
公式文書では、同じ対象への言及方法を統一します。
3. 読み手への配慮
複数の解釈が可能な場合は、名詞を繰り返して明確化します。
まとめ
代名詞の先行詞特定のポイントは、5つのルールを体系的に適用することです。
この記事で紹介した方法を使えば、Part5での正答率が大幅に向上します。
- 最近接の原則で候補を絞り込み
- 性・数の一致で文法的正確性を確保
- 意味的適合性で自然な関係を判断
- 文構造による制限で範囲を限定
- 文脈の一貫性で全体の流れを確認
ぜひ今日から実践して、代名詞問題を得点源にしてくださいね!