Part6で「文章の構造が理解できない」「どこで文が切れるのか分からない」と困ったことはありませんか?
その原因の多くが関係詞の省略にあります。 日本人学習者は、この省略に気づかないことが非常に多いんです。
実は、関係詞の省略には明確なパターンがあり、見分け方のコツを覚えれば文章構造がすっきり理解できるようになります。
今回は、日本人が特に見落としやすい関係詞省略のパターンと、確実に見抜く方法をお伝えします。
日本人が関係詞省略を見落とす理由
まず、なぜ日本人が関係詞の省略に気づきにくいのかを理解しましょう。
言語構造の違い
日本語の特徴:
- 修飾句が被修飾語の前に来る
- 関係詞に相当する語がない
- 語順が比較的自由
英語の特徴:
- 修飾句が被修飾語の後に来る
- 関係詞で修飾関係を明示
- 語順が厳格
これは道路標識のようなものです。 日本では「○○方面」という表示が目的地の前に来ますが、英語圏では目的地の後に方向が示されます。
学習過程での影響
日本の英語教育の特徴:
- 関係詞は必ず明示するものとして学習
- 省略の説明が不十分
- 文構造分析の練習不足
結果として:
- 省略された関係詞を想定しない
- 文の切れ目が分からない
- 修飾関係を見誤る
関係詞省略の基本ルール
関係詞省略の基本ルールを整理しましょう。
省略可能なケース
目的格の関係詞:
- that, which, who, whom が目的格の場合
省略の条件:
- 関係詞節内で目的語として機能
- 関係詞の直後に主語+動詞
例:
完全形:The report that we submitted yesterday was approved.
省略形:The report we submitted yesterday was approved.
省略不可能なケース
主格の関係詞:
- 関係詞節内で主語として機能
- 必ず関係詞が必要
例:
✓ The manager who called the meeting is here.
✗ The manager called the meeting is here.
見分け方のポイント
省略の判断基準:
- 名詞の直後に「主語+動詞」が続く
- その「主語+動詞」が前の名詞を修飾している
- 意味が通じる
日本人特有の見落としパターン
日本人が特に見落としやすいパターンを詳しく解説します。
パターン1:長い修飾句での省略
問題点:修飾句が長いと省略に気づかない
例:
The project (that) our team completed last month ahead of schedule received high praise.
日本人の誤解:
「The project our team completed...」を別々の文として解釈
正しい理解:
「our team completed last month ahead of schedule」全体がprojectを修飾
対策:
主語を探して文の構造を把握する
パターン2:複数の修飾が重なる場合
問題点:修飾の層が複雑で省略を見逃す
例:
The solution (that) the consultant (that) we hired suggested was implemented immediately.
日本人の誤解:
どこまでが修飾句か分からない
正しい理解:
- 「we hired」→ consultantを修飾
- 「the consultant suggested」→ solutionを修飾
対策:
内側から外側へ順番に修飾関係を整理
パターン3:動詞の形に惑わされる
問題点:過去分詞と過去形の区別ができない
例:
The documents (that) the lawyer reviewed contained important information.
日本人の誤解:
「the lawyer reviewed」を独立した過去の文として解釈
正しい理解:
「reviewed」は関係詞節内の過去形動詞
対策:
文全体の主動詞を最初に特定する
パターン4:前置詞+関係詞の省略
問題点:前置詞が残って混乱する
例:
The meeting (that) we talked about yesterday has been postponed.
日本人の誤解:
「about yesterday」の関係が分からない
正しい理解:
「talked about」で一つの動詞句
対策:
前置詞と動詞の組み合わせを意識する
パターン5:時制の一致での混乱
問題点:関係詞節内の時制で混乱
例:
The strategy (that) he proposed last year is still being used.
日本人の誤解:
過去と現在の時制が混在して混乱
正しい理解:
- 「proposed」は関係詞節内(過去)
- 「is being used」は主文(現在)
対策:
主文と関係詞節の時制を分けて考える
省略関係詞の発見テクニック
省略された関係詞を効率的に見つけるテクニックをご紹介します。
テクニック1:主動詞発見法
手順:
- 文全体の主語を特定
- その主語に対応する動詞を探す
- 間にある「主語+動詞」は修飾句と判断
実践例:
The proposal [we discussed] was accepted.
- 主語:The proposal
- 主動詞:was accepted
- 修飾句:we discussed
テクニック2:意味の塊分け法
手順:
- 名詞の後ろに注目
- 「誰が・何が」「何を・何に」を意識
- 意味のまとまりで区切る
実践例:
The client [the sales team met] signed the contract.
意味の塊:
- The client(顧客が)
- the sales team met(営業チームが会った)
- signed the contract(契約にサインした)
テクニック3:語順パターン認識法
覚えるべきパターン:
- 名詞 + 人/物 + 動詞 + (目的語) = 関係詞省略
- 名詞 + 代名詞 + 動詞 = 関係詞省略の可能性高
判断基準:
前の名詞が後ろの動詞の目的語になり得るか
テクニック4:文脈からの推測法
手順:
- 文全体の意味を考える
- 論理的に自然な修飾関係を探す
- 省略を補って意味が通るか確認
Part6での実践応用
Part6の問題で省略関係詞の理解を活用する方法をご紹介します。
語彙問題での活用
戦略:文構造を正しく理解してから語彙を選択
例題:
The software the IT department _____ last month has improved productivity.
(A) installed
(B) installing
(C) installs
(D) installation
解法:
- 「The software」が主語
- 「the IT department installed last month」が修飾句
- 修飾句内では過去形が適切 → (A) installed
文挿入問題での活用
戦略:修飾関係を理解して適切な挿入位置を判断
考慮点:
- 挿入文が修飾関係を壊さないか
- 文全体の流れが自然か
- 意味が論理的に繋がるか
文脈理解問題での活用
戦略:正確な文構造理解で文脈を把握
効果:
- 修飾関係の誤解を防ぐ
- 主文の内容を正確に理解
- 論理的な流れを把握
練習方法と上達のコツ
関係詞省略の理解力を向上させる練習方法をご紹介します。
基礎練習
構造分析練習(毎日10分):
- 複雑な文を選ぶ
- 主語・主動詞を特定
- 修飾句を[ ]で囲む
- 省略された関係詞を補う
練習例:
元の文:The meeting we attended yesterday was productive.
分析:The meeting [we attended yesterday] was productive.
補完:The meeting [that we attended yesterday] was productive.
応用練習
速読練習(週3回、各15分):
- 省略を意識しながら速読
- 文構造を瞬時に把握
- 意味理解の確認
実戦練習
Part6問題演習(週2回、各20分):
- 実際の問題で構造分析
- 時間制限下での理解
- 正答率の向上確認
レベル別学習戦略
目標スコア別の学習アプローチをご紹介します。
600点レベル
重点項目:
- 基本的な省略パターンの理解
- 簡単な修飾関係の把握
- 主語・述語の特定能力
学習のコツ:
- 短い文から始める
- 明確な例文で練習
- 基本パターンの暗記
730点レベル
重点項目:
- 複雑な修飾構造の理解
- 瞬時の構造把握
- 文脈での正確な理解
学習のコツ:
- 長文での練習強化
- 時間制限の設定
- 様々なパターンの習得
860点以上レベル
重点項目:
- 完璧な構造理解
- ネイティブレベルの感覚
- 高速での正確な分析
学習のコツ:
- 高難度文章での練習
- 自動的な構造理解
- 完璧な精度の維持
よくある間違いと対策
関係詞省略でよくある間違いと対策をまとめました。
間違い1:修飾句を独立文として解釈
問題:省略された関係詞に気づかず、修飾句を別の文として理解
対策:主語・述語の対応を必ず確認
間違い2:複数の修飾で混乱
問題:修飾が重なると全体構造を見失う
対策:内側から段階的に分析
間違い3:時制に惑わされる
問題:関係詞節の時制で主文の理解を誤る
対策:主文と修飾句の時制を分けて考える
まとめ
Part6での関係詞省略理解のポイントをまとめます。
日本人特有の問題:
1.
言語構造の違い:日本語との修飾語順の差
2.
学習過程の影響:省略形への慣れ不足
3.
見落としパターン:5つの典型的なパターン
発見テクニック:
- 主動詞発見法:文の骨格を把握
- 意味の塊分け法:論理的な関係理解
- 語順パターン認識法:典型パターンの活用
- 文脈からの推測法:全体的な理解
実践応用:
- 語彙問題:正確な文構造理解
- 文挿入問題:修飾関係の維持
- 文脈理解問題:論理的な流れ把握
練習のコツ:
- 基礎:構造分析の徹底練習
- 応用:速読との両立
- 実戦:時間制限での精度向上
関係詞の省略を正しく理解することで、Part6の読解力が大幅に向上し、文脈理解問題での正答率も上がります。
毎日の練習で文構造を見抜く力を鍛えて、関係詞省略を得意分野に変えていきましょう!