Part5で「これが正解だと思ったのに間違っていた」という経験はありませんか?
「文法的には正しそうなのに不正解」「意味も通るのになぜ間違い?」と悩んでしまうこと、よくありますよね。
実は、TOEICの選択肢には意図的に作られた誤答の罠があり、その特徴を知らないと何度も同じ間違いを繰り返してしまいます。
今回は、正解に見える誤答の典型パターンと、罠を見抜くための具体的な判断基準を詳しく解説します。
なぜ正解に見える誤答があるのか
TOEICの問題作成者は、受験者を惑わすために巧妙な誤答選択肢を用意しています。
これらの誤答は単純に「明らかに間違っている」ものではなく、「一見正しく見える」ように設計されているんです。
誤答作成の3つの原理
部分的な正しさ:文法的には正しいが文脈に合わない
2.
見た目の類似性:正解と似ているが微妙に違う
3.
直感的な魅力:日本人が選びやすい選択肢
これらの原理を理解すれば、罠に引っかかる確率を大幅に減らせます。
誤答パターン1:品詞は正しいが意味が不適切
最も多い誤答パターンは、品詞は正しいのに意味が文脈に合わないケースです。
例題:
The marketing team needs to _____ their strategy for the new product.
(A) develop
(B) development
(C) developing
(D) developed
誤答の罠:
多くの人が(B)developmentを選んでしまいます。
なぜなら「needs to」の後に名詞が来る表現(needs to pay attention)を思い浮かべるからです。
正解の理由:
しかし、「needs to + 動詞の原形」が基本パターンです。
正解は(A)develop。
この種の問題の見抜き方
「needs to」「wants to」「decides to」の後は必ず動詞の原形です。
名詞が来る場合は「needs + 名詞」の形になり、toは付きません。
誤答パターン2:コロケーションの微妙な間違い
英語の自然な語の組み合わせ(コロケーション)を狙った誤答です。
例題:
Please _____ attention to the safety instructions.
(A) give
(B) pay
(C) make
(D) take
誤答の罠:
(A)give attention は日本語の「注意を与える」から連想しやすい表現です。
正解の理由:
英語では「pay attention」が正しいコロケーションです。
正解は(B)pay。
よく出る誤答コロケーション
- ❌ give attention → ⭕ pay attention
- ❌ do a mistake → ⭕ make a mistake
- ❌ say a speech → ⭕ give a speech
- ❌ take a photo → ⭕ take a picture(TOEICでは)
誤答パターン3:時制の微妙なずれ
時制問題では、「文法的には可能だが文脈に最適ではない」選択肢が誤答として用意されます。
例題:
The conference _____ last month was very successful.
(A) held
(B) holding
(C) was held
(D) has been held
誤答の罠:
(C)was heldを選ぶ人が多いです。
過去の会議なので過去形が正しいと思うからです。
正解の理由:
しかし、この文は「先月開催された会議は」という関係代名詞が省略された形です。
正解は(A)held(過去分詞の形容詞的用法)。
時制問題の判断ポイント
文全体の構造を把握してから時制を決めることが重要です。
単語レベルで判断すると、このような罠に引っかかってしまいます。
誤答パターン4:前置詞の意味的な混同
前置詞問題では、複数の前置詞が文法的に可能な場合があります。
例題:
The meeting will start _____ 3 PM sharp.
(A) in
(B) on
(C) at
(D) by
誤答の罠:
(D)byを選ぶ人がいます。
「3時までに始まる」という意味で解釈するからです。
正解の理由:
「3時きっかりに始まる」という意味なので、時刻を示す(C)atが正解です。
前置詞選択の優先順位
固定表現:決まった組み合わせがないか確認
2.
時間・場所の性質:点か期間か、具体的か抽象的か
3.
文脈の意味:話者の意図に最も合う前置詞
誤答パターン5:関係代名詞の主語・目的語混同
関係代名詞問題では、主語用と目的語用を混同させる誤答があります。
例題:
The person _____ called you yesterday left a message.
(A) who
(B) whom
(C) which
(D) whose
誤答の罠:
(B)whomを選んでしまう人がいます。
「あなたに電話した人」を「あなたが電話された人」と誤解するからです。
正解の理由:
関係代名詞の後の動詞「called」の主語が必要なので、(A)whoが正解です。
関係代名詞の判断手順
- 関係代名詞節内の動詞を確認
- その動詞に主語があるかチェック
- 主語がなければwho、あればwhomを選択
実践練習:誤答の罠を見抜こう
理解度を確認するために、典型的な罠問題を解いてみましょう。
練習問題1:
All staff members are required _____ the training session.
(A) attend
(B) to attend
(C) attending
(D) attended
どの選択肢が誤答の罠でしょうか?
誤答の罠分析:
- (A) attend:「require + 人 + to不定詞」の知識不足を狙った罠
- (C) attending:現在分詞の知識があることを悪用した罠
- (D) attended:受動態と勘違いさせる罠
正解は(B)to attend!
「require + 人 + to不定詞」の構文だからです。
練習問題2:
The new policy will be _____ effect from next Monday.
(A) in
(B) on
(C) at
(D) under
誤答の罠分析:
- (B) on:「on Monday」との混同を狙った罠
- (C) at:時刻表現「at Monday」との混同罠
- (D) under:「under construction」などとの混同罠
正解は(A)in!
「in effect」で「実施される」という慣用表現だからです。
罠を回避する5つの鉄則
誤答の罠に引っかからないための具体的なルールをまとめました。
鉄則1:選択肢を見る前に文脈を理解する
問題文を読んで、「どんな意味の文になるはずか」を予想してから選択肢を見ます。
これにより、表面的な類似性に惑わされなくなります。
鉄則2:文法知識より文脈を優先する
複数の選択肢が文法的に可能な場合は、文脈に最も適した選択肢を選びます。
TOEICは「自然な英語」を重視するテストだからです。
鉄則3:日本語の発想を捨てる
日本語から直訳して作った表現は、多くの場合誤答の罠です。
英語らしい表現を選ぶよう心がけましょう。
鉄則4:固定表現・慣用句を優先する
決まった言い回しがある場合は、それを最優先で選択します。
TOEICではビジネス英語の標準的な表現が好まれます。
鉄則5:消去法で確信を持つ
「なぜこの選択肢は間違いなのか」を明確に説明できる選択肢を排除し、残った選択肢に確信を持ちます。
間違いパターン別・対策まとめ
最後に、各間違いパターンへの対策をまとめます。
品詞問題の対策
- 空欄前後の語句から必要な品詞を特定
- 文の構造分析を最優先
- 意味の自然さで最終判断
コロケーション問題の対策
- 頻出の語の組み合わせを暗記
- 日本語的発想の選択肢は要注意
- ビジネス英語の標準表現を優先
時制問題の対策
- 文全体の時間軸を把握
- 時制の一致ルールを確認
- 文脈から話者の意図を読み取る
前置詞問題の対策
- 固定表現を最優先でチェック
- 時間・場所の性質を分析
- 動詞との組み合わせを確認
まとめ
Part5の誤答の罠は、パターンを知れば確実に回避できます。
今回紹介した5つの典型パターンと回避の鉄則を意識すれば、
- 引っかけ問題での失点が激減する
- 自信を持って解答できるようになる
- Part5の正答率が10-15%向上する
という効果が期待できます。
次回の練習から、ぜひこれらのポイントを意識して取り組んでくださいね!