Part6の代名詞問題で、「なんとなく」で答えを選んでしまっていませんか?
「it や this が何を指しているか分からない」「選択肢がどれも正解に見える」という経験をしたことがある方は多いですよね。
実は、代名詞問題は系統的なアプローチで攻略すれば、確実に正解できるようになります。
今回は、指示対象を正確に特定する実践的なトレーニング法と、よくある落とし穴の回避方法をお伝えします。
Part6における代名詞問題の重要性
まず、なぜ代名詞問題がPart6で重要なのかを理解しましょう。
代名詞問題の出題頻度
高い出題頻度 Part6全16問中、約2-3問が代名詞に関連する問題です。
文挿入問題との関連 文挿入問題でも代名詞の指示対象が重要な手がかりになります。
得点への直接的影響 代名詞問題を落とすと、目標スコア達成が困難になります。
Part6代名詞問題の特徴
文脈依存性 Part5と違い、前後の文章を読まないと解けません。
論理的思考が必要 単純な暗記では対応できず、論理的な分析が必要です。
時間効率が良い 正しいアプローチを身につければ、短時間で確実に正解できます。
代名詞問題の種類
人称代名詞
- it, they, them, their, its など
- 明確な名詞を指すことが多い
指示代名詞
- this, that, these, those など
- 文や句全体を指すことがある
関係代名詞
- which, who, that など
- 直前の名詞を修飾する
不定代名詞
- one, ones, another など
- 特定の名詞を避けて使用
指示対象を特定する5つのステップ
代名詞の指示対象を確実に特定するための系統的な方法をお伝えします。
ステップ1:代名詞の性質を分析
単数・複数の確認
例:it(単数)→ 単数の名詞を探す
例:they(複数)→ 複数の名詞を探す
人・物の区別
例:he/she → 人を指す
例:it → 物・事柄を指す
格の確認
例:I, he, she → 主格
例:me, him, her → 目的格
例:my, his, her → 所有格
ステップ2:検索範囲の決定
基本的な検索順序
- 同じ文内
- 直前の文
- 前の段落
- 文章全体
検索の効率化 近いところから順番に探すことで、時間を節約できます。
ステップ3:候補の抽出
条件に合う名詞を列挙 代名詞の性質(単数・複数、人・物)に合う名詞をすべて見つけます。
文法的な適合性 格変化や語順が正しいかチェックします。
ステップ4:文脈での妥当性チェック
意味的な整合性 候補を代入して、文意が通るかテストします。
論理的な一貫性 文章全体の流れと矛盾しないかチェックします。
ステップ5:最終確認
他の候補との比較 複数の候補がある場合、最も適切なものを選びます。
文章全体での確認 選択した答えが文章全体で自然かチェックします。
よくある落とし穴とその回避法
代名詞問題でよく間違えるパターンを知って、効率的に学習しましょう。
落とし穴1:最も近い名詞を選んでしまう
間違いパターン:
代名詞の直前にある名詞を機械的に選んでしまう。
例文:
The company announced a new policy regarding employee benefits. It will take effect next month.
間違い思考:
「employee benefits」が直前にあるから、「it = employee benefits」
正しい分析:
- 「it」は単数→「benefits」は複数なので不適切
- 「policy」が単数で適切
- 「it = policy」が正解
回避法:
- 必ず単数・複数を確認
- 意味的な整合性をチェック
- 直前の名詞に惑わされない
落とし穴2:代名詞の格を間違える
間違いパターン:
所有格と目的格を混同してしまう。
例文:
The team completed the project ahead of schedule. _____ success surprised everyone.
(A) It
(B) Its
(C) Their
(D) They
間違い思考:
「The team」→「They」を選んでしまう
正しい分析:
- 空欄の後に「success」がある
- 「_____ success」の形→所有格が必要
- 「team」は集合名詞で単数扱い
- 「Its success」が正解
回避法:
- 空欄前後の文法構造を確認
- 格の役割を正確に理解
- 集合名詞の扱いに注意
落とし穴3:指示代名詞の範囲を間違える
間違いパターン:
this や that が指す範囲を間違えて理解する。
例文:
Sales increased by 20% last quarter, and customer satisfaction also improved significantly. This has encouraged the management to expand operations.
間違い思考:
「This = customer satisfaction」
正しい分析:
- 「This」は前文全体の状況を指す
- 「売上増加と顧客満足度向上」の両方
- 全体的な良い結果→経営陣の励み
回避法:
- 文全体の内容を考慮
- 論理的な因果関係を確認
- 単一の名詞だけでなく状況全体も候補に
落とし穴4:時制の不一致を見落とす
間違いパターン:
代名詞の時制が文脈と合わない。
例文:
The company plans to launch a new product next year. _____ will revolutionize the industry.
(A) It
(B) This
(C) That
(D) They
間違い思考:
「company」→「They」を選ぶ
正しい分析:
- 「launch a new product」が重要
- 革命を起こすのは「新製品」
- 「It = new product」が論理的
回避法:
- 動作の主体を正確に把握
- 論理的な因果関係を重視
- 時系列を意識した分析
実践トレーニング問題
系統的なアプローチを実際の問題で練習してみましょう。
トレーニング問題1:基礎レベル
The marketing department organized a successful campaign last month. _____ resulted in a 15% increase in sales.
(A) It
(B) This
(C) They
(D) These
あなたの分析:
ステップ1-5に従って分析してみてください。
解答・解説
ステップ1:代名詞の性質
- 空欄は主語の位置
- 「resulted」(単数動詞)→単数主語が必要
ステップ2:検索範囲
- 直前の文を確認
ステップ3:候補の抽出
- 「campaign」(単数)
- 「department」(単数)
ステップ4:文脈での妥当性
- 売上増加をもたらしたのは「キャンペーン」
- 「campaign」が最も論理的
ステップ5:最終確認
- 「It = campaign」で文意が通る
正解:(A) It
トレーニング問題2:中級レベル
Our company has implemented several cost-cutting measures this year. Employee training programs have been reduced, and office supplies are now strictly monitored. _____ has helped improve our profit margins considerably.
(A) It
(B) This
(C) They
(D) These
あなたの分析:
複数の要素がある場合、何を指すでしょうか?
解答・解説
ステップ1:代名詞の性質
- 「has helped」(単数動詞)→単数主語
- 「This」は前文の内容全体を指すことが多い
ステップ4:文脈での妥当性
- 利益率改善の原因は?
- 複数のコスト削減策の総合効果
- 個別の策ではなく、全体の取り組み
ステップ5:最終確認
- 「This = cost-cutting measures全体」
- 複数の施策の総合効果を表現
正解:(B) This
トレーニング問題3:上級レベル
The board of directors reviewed the quarterly report and discussed future strategies. The CEO presented optimistic projections for the next fiscal year. _____ decision to expand into new markets was unanimously approved.
(A) Its
(B) Their
(C) His
(D) The
あなたの分析:
複数の候補がある場合の判断方法は?
解答・解説
ステップ1:代名詞の性質
- 「_____ decision」→所有格が必要
- 「was approved」(単数)→決定は一つ
ステップ3:候補の抽出
- 「board of directors」(集合名詞・複数扱い)
- 「CEO」(単数・人)
ステップ4:文脈での妥当性
- 新市場への拡大を決定したのは誰?
- 「The CEO presented projections」
- CEOの提案→CEOの決定が論理的
ステップ5:最終確認
- 「His = CEO's」で文意が通る
- 取締役会が承認したCEOの決定
正解:(C) His
効果的な練習方法
代名詞問題を確実に攻略するための練習方法をお伝えします。
基礎練習:代名詞マーキング
手順1:代名詞を全てマーク 文章中の代名詞を全て円で囲みます。
手順2:指示対象を線で結ぶ 各代名詞から指示対象に線を引きます。
手順3:根拠を言語化
なぜその対象を選んだか理由を書きます。
練習例:
The company(1) launched its(→1) new product last week. It(→product) has received positive reviews from customers. This(→positive reviews) has encouraged the management team. They(→management team) are planning to increase production.
応用練習:時間制限チャレンジ
目標時間:30秒/問
- ステップ1-2:10秒
- ステップ3-4:15秒
- ステップ5:5秒
練習方法:
- タイマーをセット
- 系統的アプローチで解答
- 時間と正確性を記録
- 弱点を特定して改善
上級練習:複雑な文章での実践
長文での代名詞追跡
- 段落をまたぐ代名詞
- 複数の候補がある場合
- 曖昧な指示内容の処理
論理的思考の強化
- 因果関係の把握
- 時系列の理解
- 文章構造の分析
学習記録の活用
間違いパターンの記録
- どの落とし穴にかかったか
- なぜ間違えたか
- 正しいアプローチは何か
進歩の確認
- 正答率の推移
- 解答時間の短縮
- 自信度の向上
継続のコツ
毎日5分の習慣 代名詞問題を1-2問解く習慣をつけます。
意識的な練習 普段の英語学習でも代名詞に注意を向けます。
実践での応用 Part6以外の英文でも代名詞を意識して読みます。
代名詞問題で差をつける上級テクニック
より高いレベルでの代名詞問題攻略法をご紹介します。
テクニック1:文章構造の活用
段落の役割理解
- 導入段落:問題提起
- 本文段落:詳細説明
- 結論段落:まとめ
代名詞の文章内位置
- 段落冒頭:前段落の内容を指すことが多い
- 段落中間:同段落内の要素を指す
- 段落末尾:段落全体をまとめる
テクニック2:論理マーカーの活用
接続表現との関係
- However → 対比関係
- Therefore → 因果関係
- Moreover → 追加関係
代名詞の意味推測 接続表現から代名詞の指示内容を推測できます。
テクニック3:ビジネス文書の特徴活用
メール文書
- 依頼→回答の構造
- 送信者・受信者の明確化
報告書・記事
- 客観的事実の記述
- 論理的な構成
広告文書
- 商品・サービスの強調
- 読者への訴求
実戦での応用
時間配分の最適化
- 代名詞問題:20-30秒
- 確信が持てない場合:即座に次へ
- 残り時間での見直し
優先順位の設定
- 明確な代名詞問題を優先
- 難しい指示代名詞は後回し
- 全体のバランスを考慮
まとめ
Part6代名詞問題の攻略法をまとめました。
系統的アプローチ:
1.
代名詞の性質分析:単数・複数、人・物、格の確認
2.
検索範囲の決定:近いところから順番に探す
3.
候補の抽出:条件に合う名詞をすべて見つける
4.
文脈での妥当性:意味的・論理的整合性をチェック
5.
最終確認:文章全体での自然さを確認
よくある落とし穴:
- 最も近い名詞を機械的に選ぶ
- 代名詞の格を間違える
- 指示代名詞の範囲を誤解する
- 時制の不一致を見落とす
効果的な練習法:
- 代名詞マーキング練習
- 時間制限チャレンジ
- 複雑な文章での実践
- 学習記録の活用
上級テクニック:
- 文章構造の活用
- 論理マーカーの活用
- ビジネス文書特徴の理解
- 戦略的時間配分
代名詞問題は、系統的なアプローチを身につければ確実に攻略できます。
5つのステップを習得して、落とし穴を回避する練習を積めば、Part6での得点力が大幅に向上します。
今日から実践的なトレーニングを始めて、代名詞問題を得点源に変えましょう!
論理的に考える力が身につくと、英語学習全体にも良い影響がありますよ。