Part5で「as if」や「It's time」の後に続く動詞の形を問われると、「現在形?過去形?」と迷ってしまうことはありませんか?
「He talks as if he knew everything」のような文を見ると、なぜ過去形なのか理解に困ってしまう方も多いですよね。
実は、これらの表現には仮定法の特殊なルールがあり、そのパターンを覚えれば迷わずに正解を選べるようになります。
今回は、860点突破に必要な仮定法慣用表現を、分かりやすくマスターしていきましょう。
仮定法慣用表現とは?
仮定法慣用表現を簡単に説明すると、「現実とは異なる状況を表す決まった表現」のことです。
例えば、同僚の行動を評価する場面を想像してみてください。 まるで専門家のように振舞う人について:
✅ He acts as if he were an expert.
(彼はまるで専門家であるかのように振舞います)
実際は専門家ではないのに、そうであるかのような様子を表すのが仮定法なんです。
as ifの基本用法
「as if」は「まるで〜であるかのように」という意味で、現実と異なる状況を表します。
as ifの基本構文
... as if + 仮定法過去/仮定法過去完了
特徴:
- 現実とは異なる状況を表現
- 後ろは基本的に仮定法(過去形または過去完了形)
- 「as though」も同じ意味
現在の事実と異なる場合(仮定法過去)
現在の状況が現実と異なるときに使います。
She talks as if she knew the answer.
(彼女はまるで答えを知っているかのように話します)
ポイント:
- 実際は答えを知らない
- 動詞は過去形(knew)を使用
- be動詞は「were」を使う
be動詞の例:
He acts as if he were the boss.
(彼はまるでボスであるかのように振舞います)
過去の事実と異なる場合(仮定法過去完了)
過去の出来事が現実と異なるときに使います。
She looked as if she had seen a ghost.
(彼女はまるで幽霊を見たかのような顔をしていました)
ポイント:
- 実際は幽霊を見ていない
- 「had + 過去分詞」を使用
- より過去の出来事を表現
It's timeの用法
「It's time」は「〜する時間だ・頃だ」という意味で、行動を促す表現です。
It's timeの基本構文
It's time + (for 人) + 仮定法過去
It's time + (for 人) + to do
パターン1:It's time + 仮定法過去
より強い促しや批判のニュアンスがあります。
It's time you went home.
(もう家に帰る時間です)
ポイント:
- 「went」は過去形だが意味は現在・未来
- 「もうとっくに〜すべき時間だ」のニュアンス
- やや批判的・緊急性を含む
パターン2:It's time to do
一般的な「〜する時間だ」という表現です。
It's time to go home.
(家に帰る時間です)
ポイント:
- より中性的な表現
- 単純に時間の到来を表す
- 日常会話でよく使用
パターン3:It's time for + 名詞
名詞を使った表現です。
It's time for lunch.
(昼食の時間です)
It's time for a change.
(変化の時です)
Part5での頻出出題パターン
仮定法慣用表現は、Part5で年間約3-4問出題される上級レベルの文法項目です。
主な出題パターンは以下の4つです。
パターン1:as ifの後の動詞の形
最も頻出するパターンです。
例題:
The new employee works as if he _____ here for years.
(A) worked
(B) had worked
(C) works
(D) will work
正解は(B)です。 実際は新入社員なので「had worked」(仮定法過去完了)が正解です。
パターン2:It's timeの構文選択
適切なIt's time構文を選ぶパターンです。
例題:
It's time the company _____ its outdated policies.
(A) change
(B) changed
(C) to change
(D) changing
正解は(B)です。 「It's time + 仮定法過去」の構文で「changed」が正解です。
パターン3:be動詞の形
as ifの後のbe動詞を問うパターンです。
例題:
She acts as if she _____ the manager.
(A) is
(B) was
(C) were
(D) will be
正解は(C)です。 仮定法ではbe動詞は「were」を使います。
パターン4:時制の判断
文脈から適切な時制を判断するパターンです。
例題:
He looks as if he _____ bad news.
(A) receives
(B) received
(C) has received
(D) will receive
正解は(C)です。 既に悪いニュースを受け取った結果として顔に表れているので「has received」が適切です。
よく間違える表現
日本人学習者が特に間違えやすい表現を整理しましょう。
間違い1:as ifの後に現在形を使う
❌ He talks as if he knows everything.
✅ He talks as if he knew everything.
as ifの後は基本的に仮定法(過去形)を使います。
間違い2:It's timeの後にwillを使う
❌ It's time you will go home.
✅ It's time you went home.
仮定法では未来を表す場合も過去形を使います。
間違い3:be動詞でwasを使ってしまう
❌ She acts as if she was rich.
✅ She acts as if she were rich.
仮定法のbe動詞は人称に関係なく「were」を使います。
実践問題にチャレンジ
理解度を確認するために、練習問題を解いてみましょう。
問題1:The CEO speaks as if he _____ every detail of the project.
(A) knows
(B) knew
(C) has known
(D) will know
考えてみてくださいね。
正解は(B)です!
「as if」の後は仮定法過去を使うので「knew」が正解です。 実際はすべての詳細を知らないが、知っているかのように話すという意味です。
問題2:It's about time we _____ this old system.
(A) replace
(B) replaced
(C) to replace
(D) replacing
こちらはどうでしょうか?
正解は(B)です!
「It's time + 仮定法過去」の構文で「replaced」が正解です。 「もうとっくにこの古いシステムを交換すべき時だ」という強い促しのニュアンスです。
その他の仮定法慣用表現
as ifとIt's time以外の仮定法慣用表現も覚えておきましょう。
wish + 仮定法
願望を表す表現です。
I wish I were taller.
(もっと背が高ければいいのに)
I wish I had studied harder.
(もっと一生懸命勉強していればよかった)
if only + 仮定法
「〜でさえあれば」という強い願望です。
If only I had more time!
(もっと時間があればなあ!)
would rather + 仮定法
「むしろ〜してもらいたい」という表現です。
I would rather you came tomorrow.
(明日来てもらえたらと思います)
覚えておくべき重要ポイント
以下のポイントは必ず覚えてください。
as ifのルール
- 現在の非現実 → 仮定法過去(動詞の過去形)
- 過去の非現実 → 仮定法過去完了(had + 過去分詞)
- be動詞 → 常に「were」
It's timeのルール
- It's time + 仮定法過去 → 強い促し・批判
- It's time + to do → 中性的な時間表現
- It's time for + 名詞 → 名詞を使った表現
仮定法の時制感覚
現実の時制より1つ過去にずらすのが基本です。
現在の非現実 → 過去形
過去の非現実 → 過去完了形
まとめ
仮定法慣用表現のポイントは、現実とは異なる状況を表す特殊な時制感覚を理解することです。
重要な表現:
- as if + 仮定法 → まるで〜であるかのように
- It's time + 仮定法 → もう〜する時間だ
- be動詞は常にwere → 人称に関係なく
この概念を理解して、現実の時制から1つ過去にずらすルールを覚えれば、Part5での正答率が確実に上がります。
次回のTOEICでは、仮定法表現を見たら「現実と違う?」「時制を1つ戻す」と考える習慣をつけてくださいね!